ライティング講座(照明講座)
照明計画資料
サイン広告照明
(1)目的
サイン広告照明は、夜間における宣伝効果を高めるために設置します。照明設計を行う際には、以下に示す点に注意する必要があります。
- 光害対策を施すこと(適正な照度・手法・照明器具の選択)
- 反射グレアがないこと(適正な照明手法の選択)
- 色彩に違和感がないこと(適正な光源の選択)
- 点灯時間の最適化(光害やカーボンニュートラルへの配慮)
- 保守の容易性
(2)照度設定
サイン広告面に必要な明るさは、設置場所の周囲の明るさや表面の状態により異なります。例えば、多色カラーの鮮やかなサインボードは、絵と文字を浮き出させるために単色や文字のサインボードより明るくする必要があります。表5.1にサイン広告照明の明るさの目安を示します。
表5.1 照度の目安
サインボード表面の状態 | ||
---|---|---|
表面が明るい(白っぽい) | 500ℓx以上 | 300ℓx以上 |
表面が暗い(黒っぽい) | 1000ℓx以上 | 500ℓx以上 |
サインボード表面の状態 | ||
---|---|---|
文字看板 | 750ℓx以上 | 500ℓx以上 |
グラフィック看板 | 1000ℓx以上 | 750ℓx以上 |
(3)機材の選定
3.1 光源
光源の選定は、サイン広告面の見え方に影響を及ぼします。光源効率の他、演色性や光色にも注意しなければなりません。色彩の見え方が重要な場合は、平均演色評価数Raが80以上の光源を選択します。表5.2は、光色と再現される色のイメージです。
相関色温度(K) | 光色 | 色のイメージ(Ra≧80) |
---|---|---|
~3300 | 暖 | 暖かみのある雰囲気で赤がハッキリとする。 |
3300~5300 | 昼間 | 白地がより白く、ほとんどの色が忠実に再現できる。 |
5300~ | 涼 | ほとんどの色を再現しながら、涼しげな色を演出する。 |
3.2 器具
照明器具は、アームに取付けて使用することが多いのですが、サイン広告面からの出幅を必要としないものも商品化されています。サイン広告照明は、表示面の照度均斉度も重要です。このため、照明器具の出幅は、一般に看板高さの1/4~1/2程度を必要とします。照明器具の配光は、出幅に応じたものを選定し、適切な取付け間隔で設置します。(図5.1)
図5.1 出幅とサイン広告高さの目安
(4)照明方式
サイン広告に対する照明方式を表5.3に示します。なお照明器具の照射方向は、一般に表示面の2/3より遠方とします。ただし、下部から上方へ照射する場合には、天空など照明範囲外への漏れ光を制限する必要があります。上部から下方向へ照明する場合は、周囲にグレアを与えないよう注意する必要があります。
照明方式 | 特徴及び留意点 | 看板高さ | |
---|---|---|---|
上方向からの照明 |
|
1m~5m | |
下方向からの照明 |
|
1m~5m | |
上下方向からの照明 |
|
5m~8m |
(2025年4月25日入稿)
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