ライティング講座(照明講座)

照明計画資料

屋内作業場照明 - オフィス照明

(1)目的

オフィス照明は、執務者の視機能を良好に保ち、疲労を軽減し、作業能率が向上するように設計・設備される必要があります(明視性:作業の照明)。
また、照明は見ようとする視対象だけを十分に明るくすれば良いというものではなく、天井面・壁面・床面・什器などの明るさのバランスを適切にし、居住空間として快適と感じられるように、設計・設備される必要もあります(快適性:環境の照明)。

(2)照明の要件

オフィス照明の基本的な要件は次の4つです。これらは相互に関連し合っているので、実際の照明の場ではこれらを総合的に取り扱う必要があります。

  • 照度
  • 不快グレアと減能グレア
  • 光幕反射と反射グレア
  • 光色と演色性

2.1 照度

2.1.1 水平面照度

表8.4にオフィス照明基準表を示します。表中の水平面照度は、各エリアの室の種類毎に推奨する保守率を含む水平面照度の平均値を示しています。作業面が指定されていない場合は、床上0.8(m)の仮想的な水平面の値とし、通路や廊下では床上0.1(m)以内の中心線上の平均値としています。また、視作業の種類ごとには表8.5の値を推奨します。

2.1.2 照度均斉度

作業面における水平面照度の変化は、出来るだけ小さいことが望ましく、執務エリアにおいては、視作業域内の平均照度(タスク照明による照度とアンビエント照明による照度の和)に対するアンビエント照明の平均照度の比は1/3以上となるようにします。また、視作業域内の照度の均斉度は、最小照度/平均照度を0.6以上とする必要があります。また、タスクアンドアンビエント照明方式のような不均一な照明を選定する場合は、壁面照度を200ℓx、天井面照度を100ℓxを推奨しています。

2.1.3 照度の連続性

人間がオフィス内を移動する場合、室と廊下または室と室の間に、ある限度以上の照度差があると、床面、障害物、歩行者などが見え難くなり、通行の安全が損なわれることがあります。低い方の照度が高い方の1/5以上であることが理想的です。

2.1.4 鉛直面照度

対話をする相手の表情を見る時や、書棚の書類を探す時などには、十分な鉛直面照度が必要となります。また、OA機器を操作する室内においては、資料や原稿を見るために十分な鉛直面照度が必要な反面、液晶モニタなどのディスプレイ表面の照度が高すぎると、表示文字の輝度対比が低下して見えにくくなったり目が疲れたりするため、適正な範囲に抑える必要があります。これらを考慮した基準が表8.4の中の鉛直面照度です。特に指定がない場合は、床上1.2mにおける鉛直面照度とします。

2.1.5 壁面照度・天井面照度

執務空間において、タスクアンドアンビエント照明を用いる際、明るさを適正に保つ必要があります。各照度の推奨値を、表8.4に示します。壁面照度は、平均反射率を30%と想定して、天井面照度は、平均反射率を50%と想定して照度を算出します。反射率が高い場合は、輝度が同等となるように照度を低減することができます。

表8.4 オフィス照明基準表
区分 室の種類 視作業域内
(TALの場合)
室内全域
(全般照明の場合)
照度の連続性 鉛直面照度
[ℓx]
壁面照度
a)[ℓx]
天井面照度
b)[ℓx]
不快グレア
(UGR)
光色 平均演色評価数
(Ra)
水平面照度
[ℓx]
照度の均斉度 水平面照度
[ℓx]
照度の均斉度
基準 基準 基準 基準 推奨 推奨 推奨 推奨 推奨 推奨 推奨
執務空間 設計室・製図室 1500 0.6以上 1500 0.6以上 1:5以内 100以上 200 100 16 中,涼 80以上
事務室 c) 750 750 200 100 19
役員室 750 750 200 100 16 暖,中,涼
役員会議室     500     19
診察室     500 150以上     19 中,涼 90以上
調理室     500 100以上 200 100 22 80以上
印刷室・コピー室 500 0.6以上 500 200 100 19
電子計算機室・サーバー室 500 500 200 100 19
中央監視室・管理室 500 500 150以上 200 100 16
コールセンター 500 500 100以上 200 100 19
守衛室     500       19
受付 d)     300   150以上     22 暖,中(,涼)
共用空間 会議室・集会室・セミナー室     500 0.6以上     19 暖,中,涼
応接室     500   100以上     19
宿直室     300         19
社員食堂 d)     300   100以上       暖,中(,涼)
喫茶室・ラウンジ・給湯室 d)     200          
休憩室・リフレッシュコーナー d)     100          
書庫     200   100以上       中,涼
倉庫     100           60以上
更衣室・ロッカー室     200           80以上
パウダールーム 500       150以上       暖,中,涼 90以上
便所・洗面所 200   200   150以上       80以上
電気室・機械室 200               中,涼 60以上
階段     150          
屋内避難階段     50          
共用廊下 d)     100           暖,中(,涼) 80以上
エレベーターホール d)     300          
エントランスホール(昼間) d)     500          
エントランスホール(夜間)・玄関(車寄せ) d)     100          
  • a) 壁面の反射率を30%と想定して算出した壁面照度の推奨値、壁面の反射率が高い場合は、輝度が同等となるように照度を低減してもよい。反射率が低い場合は、輝度が同等となるように照度を高める必要がある。
  • b) 天井面の平均反射率を50%と想定して算出した天井面照度の推奨値、天井面の反射率が高い場合は、輝度が同等となるように照度を低減してもよい。反射率が低い場合は、輝度が同等となるように照度を高める必要がある。
  • c) 細かな作業をともなう場合、高齢者に配慮する場合は1.5倍程度の照度とするのが望ましい。
  • d) 光色を涼とする場合、高照度にすることが望ましい。

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

表8.5 作業面の推奨照度と照度範囲、作業の例
推奨照度[ℓx] 照度範囲[ℓx] 作業または行動の例
75 50~100 車庫・非常階段
100 75~150 ごく粗な視作業、時折の短い訪問、倉庫
150 100~200 作業のために連続的に使用しない空間
200 150~300 粗な視作業、作業のために連続的に使用する空間(最低)
300 200~500 やや粗な視作業
500 300~750 普通の視作業
750 500~1000 やや精密な視作業
1000 750~1500 精密な視作業
1500 1000~2000 非常に精密な視作業

照度範囲300~750は、300[ℓx]以上、750[ℓx]以下を示す。この場合の推奨照度は、500[ℓx]である。

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

2.2 グレア

良好な視環境を得るためには、作業者に照明器具によるグレアを与えないように、適切な照明器具を選択しなければなりません。屋内における不快グレアは、一般には輝度が高い照明器具又は窓から直接的に生じるので、抑制する必要があります。

2.2.1 グレア源の遮光

グレアは、視野内の著しい高輝度部及び高い輝度の対比によって生じ、対象物の見易さを損ないます。これは高輝度な光源を遮光したり、高輝度な窓面にブラインドを用いたりすることによって回避できます。ランプ(光源)輝度に対するランプ(光源)最小遮光角は、表8.6に示した値を下回ってはなりません。なお、最小遮光角は照明器具が通常作業中に視野にない場合又は照明器具が減能グレアを与えない場合には適用しません。遮光角とは、ランプ(光源)を装着した照明器具の最下面に接する水平線と照明器具内のランプ(光源)の発光部分が見え始める視線方向のなす角のことをいいます。

表8.6 作業面の推奨照度と照度範囲、作業の例
ランプ輝度(×1000cd/m²) 最小遮光角
1以上20未満 10°
20以上50未満 15°
50以上500未満 20°
500以上 30°

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

2.2.2 不快グレア

不快グレアの評価は、屋内統一グレア評価方法に基づいて式-3によってUGRを求めます。UGRの計算方法はCIE117に則ります。UGRは、表8.4に示すUGR制限値(UGR)を超えないことが望ましいです。それぞれのUGR段階とグレアの程度との関係は表8.7に示します。UGRは発光面の輝度が均一であると仮定して計算されることから、発光面の輝度均斉度について配慮しています。

Lb
背景輝度(cd/m²)
L
観測者の目の方向に対するそれぞれの照明器具の発光部の輝度(cd/m²)
ω
観測者の目の方向に対するそれぞれの照明器具の発光部の立体角(sr)
P
それぞれの照明器具の視線からの隔たりに関するGuth(グース)の位置指数

背景輝度Lbは、CIEPub.117 Disucomfort Glare in Interior Lightingによれば、グレア源を含まない視野内の観測者の目の位置における鉛直面照度と全く同じ値をつくりだす全周囲の一様な輝度と定義されています。

表8.7 UGR段階とグレアの程度との関係
UGR段階 グレアの程度
28 ひどすぎると感じ始める
25 不快である
22 不快であると感じ始める
19 気になる
16 気になると感じ始める
13 感じられる

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

2.2.3 UGR計算値

図8.3 UGR計算値の判定

既往研究によりUGRはグレアの程度に関する主観評価よりも3~6程度厳しい方向にずれること、JIS Z 9125屋内作業場の照明基準では「UGR制限値を超えないことが望ましい」とされていることを考慮し、JCIE-002屋内作業場の照明基準設計ガイドでは、例えばUGRが19の部位に推奨できるUGR計算値は19≦UGR<22とすることを提案しています。(図8.3)

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

2.3 光幕反射

光沢のある紙面などの視作業面で、対向する高輝度物体が反射して、紙面上に重畳することで視対象の対比低下をまねき、見えにくくなる光幕反射があります。光幕反射を防止するためには、以下のような配慮をする必要があります。

  • 望ましくない反射が通常の視線方向からはずれるように、照明器具、視対象物及び執務者を配置する。
  • 主たる照明を拡散光で左側方または頭上の少し後方からとるようにする。
  • 光幕反射が生じないよう局部照明を用いて作業対象面の照度を上げ、光幕反射の影響を相対的に軽減する。
  • 作業対象面内の光沢面を光沢のない面に換える。
  • 室内面を光沢のない仕上げとする。

2.4 光源の光色と演色性

2.4.1 光源の光色

色温度が低いと赤みをおびた光色となるため暖かい感じとなり、色温度が高いと青みをおびた光色となるため涼しく感じます。光色が与える印象は相関色温度により表8.8に示す光色分類で表します。ただし、長時間室内に滞在し、その室の光色に十分順応した状態においては、このような心理的効果は軽減されます。
色温度は温冷感に影響があり、室内の雰囲気を左右する重要な要素となります。ひとつの空間や隣接する空間で異なる光色の光源を用いると不自然に感じられる場合があり特に、昼光の入る空間に色温度の低い光源を使用するとバランスが悪く不自然に感じられるため、光色区分の中または涼の色温度の光源を使用するのが理想的です。また、光源の選定にあたっては、室の目的に応じた雰囲気を考慮し、内装や家具の色彩、照度との関係にも留意することが望ましいです。

表8.8 光色の分類
区分 光色の印象 相関色温度(K)
暖かい 3300未満
中間 3300~5300
涼しい 5300以上

(参考文献 JIEG-008:照明学会・技術指針 オフィス照明設計技術指針(2017))

2.4.2 光源の演色性

演色性とは、その光源により照明した物体の色がどの程度忠実に見えるか、その程度のことをいいます。演色性の程度は「JIS Z 8726:光源の演色評価方法(1990)」に規定される平均演色評価数Raによって表されます。Raの値が100に近いほど物体の色を忠実に表すことが出来ますが、相関色温度が異なる光源同士は、平均演色評価数の大小では必ずしも演色効果を比較出来ないので注意が必要です。人が長時間働いたり、滞在したりする場所にはRa80以上の光源を用いるのが理想的です。また、印刷やデザイン関係の仕事など色がより正しく見えることが求められる空間ではRa90以上を推奨します。
機械室や倉庫などのバックヤードにはRa60以上という値が推奨されていますが、危険作業を伴うような空間では、安全色彩、安全標識が適切に見える光源を使用します。演色性の良否は、執務者の作業効率や疲労にも影響を及ぼすことが考えられます。また、高齢化社会の到来にともない、執務者の高齢化への対応が求められています。一般に、若年者に比べて色彩弁別能力などの視機能が低下するため、高齢者にとっても明確に対象物が見えるよう、Ra80以上とするのが理想的です。

(3)照明方式

照明方式は、照明の目的に適したものを選択し、照明設備は光源・照明器具(安定器を含む)・制御システムなど個々の効率だけでなく、照明システム全体の効率を考慮して決定するのが望ましいといえます。また初期費用だけでなく電力費、維持費を含めた設備稼働全期間の総費用が少なくなるように計画することが必要です。オフィス照明に採用される照明方式は図8.4を参照ください。

図8.4 照明方式

3.1 全般照明方式

天井全体に多数の照明器具を規則正しく配置し、室内の作業面全体にほぼ均一な照度を与える方式です。この方式の最大の利点は、作業対象、作業場所などが変わっても、照明条件はほとんど変わらないという柔軟性があることですが、反面、部屋全体をその部屋で行われる最も細かい作業に必要な照度で照明しなければならないことが欠点といえます。
なおこの方式は、使用する照明器具の配光特性によって、直接照明と間接照明に分けることもできます。前者は、直接作業面方向への配光を有する照明器具を使う方式であるのに対し、後者は照明器具から出た光を一旦天井や壁で反射させ、その2次反射光を作業照明用に利用する方式で、所要照度があまり高くない場合、VDTが多く設置される部屋などに適しています。

3.2 局部的全般照明方式

この方式は、照明器具を作業する場所を中心にして機能的に配置して所要照度を与え、その他の場所には、これより低い照度を与える方式です。この方式の場合は、完成後の作業場所の変更に対応しにくいため、設計段階で照明器具の設置位置と作業領域との関係を正確に把握しておく必要があります。

3.3 局部照明方式

作業に使用される限定された狭い範囲とそのごく近傍の周辺のみを照明する方式で、部屋の一部で高照度を必要とする場合に適しています。

3.4 タスクアンドアンビエント照明方式

全般照明方式と局部照明方式を組み合わせた方式です。タスク照明とは各机などに設けた作業(タスク)用照明のことで、アンビエント照明とは、居室内全体用のベース照明を意味します。一般的にベース照明の照度レベルは作業面照度より低く設定し、250(ℓx)以上とするのが望ましいといえます。
この照明方式により、設備のイニシャルコスト及び電気料金を低減させることが出来、さらに離席者が各自のタスクライトを消灯することでより大きな省エネ効果を得ることが出来ます。

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