光害とは

光害対策ガイドライン

光害とは

平成10年3月、環境庁(現環境省)により『光害対策ガイドライン~良好な照明環境のために』が策定されました。(令和3年3月改訂)
「光害(ひかりがい)」とは、「良好な光環境」の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、又はそれらによる悪影響と定義されています。

さまざまなものに影響を与える光害

評価項目
  1. 配光
  2. 上方光束比
  3. 輝度(輝度分布)
  4. 光色(相関色温度)

CIE(国際照明員会)の環境区域

表3 光環境類型
E1 自然公園や里地等で、屋外照明設備等の設置密度が低く、本質的に暗く保つべき地域。
E2 村落部や郊外の住宅地等で、道路照明灯や防犯灯等が主として配置されている程度であり、周辺の明るさが低い地域。
E3 都市部住宅地等で、道路照明灯・街路灯や屋外広告物等がある程度設置されており、周辺の明るさが中程度の地域。
E4 大都市中心部、繁華街等で、屋外照明や屋外広告物の設置密度が高く、周囲の明るさが高い地域。

表5 指定された方向への最大光度値(CIE150:2003に基づく)

光環境類型 減灯時間前の指定された方向への最大光度値 減灯時間後の指定された方向への最大光度値
E1 2,500cd 0cd
E2 7,500cd 500cd
E3 10,000cd 1,000cd
E4 25,000cd 2,500cd

表6 最大鉛直面照度値(CIE150:2017に基づく)

光環境類型 減灯時間前の最大鉛直面照度値 減灯時間後の最大鉛直面照度値
E1 2ℓx 0ℓx
E2 5ℓx 1ℓx
E3 10ℓx 2ℓx
E4 25ℓx 5ℓx

※対象となる照明器具が公共照明(道路など)の場合には、この値は1ℓxとする。

表7 発光面の平均輝度の最大許容値(CIE150CIE150:2017に基づく)

対象 利用条件 光環境類型
E1 E2 E3 E4
建物ファサードの輝度(Lb) 平均照度×反射率/πより求める (減灯時間前)
<0.1cd/m²
5cd/m² 10cd/m² 25cd/m²
(減灯時間後)
0cd/m²
看板の輝度(Ls) 平均照度×反射率/πより求める
又は、自発光しているものの平均輝度
(減灯時間前)
50cd/m²
400cd/m² 800cd/m² 1,000cd/m²
(減灯時間後)
0cd/m²

(備考)
光環境類型E2~E4の値は減灯時間前・減灯時間後の両時間帯に適用する。看板の輝度は、交通管制標識には適用しない。

上方光束比

照明器具から出る光束のうち、水平より上方へ向かう光束の割合を示します。光害対策ガイドラインでは、光環境類型ごとに上方光束の最大許容値を下表のように設定しています。

地域特性に応じた照明環境類型と上方光束の最大許容値
光環境類型 地域対象イメージ 配慮すべき影響 目標設定例 上方光束比の最大許容値
E1 自然公園や里地等で、屋外照明設備等の設置密度が低く、本質的に暗く保つべき地域
  • 自然公園
  • 自然景観地域
  • 田園
  • 里地
など
動物への影響
植物への影響
夜空の明るさへの影響
  • 自然環境、農作物への影響に配慮した屋外照明の設置
  • 星空の保護
0.0%
E2 村落部や郊外の住宅地等で、道路照明灯や防犯灯等が主として配置されている程度であり、周辺の明るさが低い地域
  • 郊外
  • 田園、山間地域の集落、町、村
など
居住者への影響
歩行者への影響
動物への影響
植物への影響
夜空の明るさへの影響
  • 自然環境、農作物への影響に配慮した屋外照明の設置
  • 居住者への影響の防止
  • 星空の保護
2.5%
E3 都市部住宅地等で、道路照明灯・街路灯や屋外広告物等がある程度設置されており、周辺の明るさが中程度の地域
  • 都市の周辺
  • 都市周辺住宅地
  • 市街地(工業地域)
など
居住者への影響
歩行者への影響
夜空の明るさへの影響
  • 居住者への影響の防止と住環境整備の両立
  • 夜空の明るさへの配慮
5.0%
E4 大都市中心部、繁華街等で、屋外照明や屋外広告物の設置密度が高く、周囲の明るさが高い地域
  • 都市中心部
  • 繁華街
  • 商店街
  • オフィス街
など
歩行者への影響
夜空の明るさへの影響
  • 都市夜景のデザイン性の向上
  • 夜空の明るさへの配慮
  • 広告物、設置物における照明の使用の適正化
15%

輝度(輝度分布)

発光面輝度の均一な照明器具の例

LED照明器具の発光部の輝度分布が不均一な場合は、均一な場合よりも不快グレアを感じやすいため、発光面の輝度分布を均一にするような工夫が求められます。

※屋外照明器具の不快グレアを抑制するための配慮事項としては、一般社団法人照明学会JIEG-011(2018)屋外歩行者空間におけるLED照明の不快グレアに関する指針を参照

色温度

青色光は人、動植物、夜空の明るさなどへの影響が報告されています。
環境影響を抑制するためには、夜間の屋外照明は電球色等の相関色温度の低いものが望ましく、夜空を暗く保つには、上方光束を抑えつつ、照明の相関色温度を3000K以下にすることが望ましいとされています。
一方、相関色温度の高い光源の方がエネルギー効率が高いため、設置台数を減らしたり消費電力を削減するには有利となります。
適切な相関色温度は照明の目的によって異なるため、目的に応じた光色や相関色温度を選ぶ必要があります。

LEDの光色と相関色温度範囲の関係
光色の種類 相関色温度 Tcp(K)
昼光色 5700~7100
昼白色 4600~5500
白色 3800~4500
温白色 3250~3800
電球色 2600~3250

JIS Z 9112(2019)より作成

各光色の相関色温度の目安