ライティング講座(照明講座)

照明計画資料

トンネル照明 - トンネル照明設計

(1)トンネル照明設計の手順

トンネル照明設計は、図2.4に示す手順で行います。

図2.4 トンネル照明の設計手順

(2)基準値の決定

トンネル照明の設計を行うにあたり、まず、トンネル照明を構成する各照明要素ごとの所要輝度や区間長などの基準値を設定する必要があります。基準値は道路照明と同様に「道路照明施設設置基準・同解説」に記載されています。

  • 基本照明
  • 入口部照明
  • 出口部照明
  • 特殊構造部の照明(歩道部、非常駐車帯部、他)
  • 停電時照明
  • 接続道路の照明

2.1 基本照明

基準値は、表2.1のように定められています。

表2.1 平均路面輝度
設計速度(km/h) 平均路面輝度(cd/m²)
100 9.0
80 4.5
70 3.2
60 2.3
50 1.9
40以下 1.5

(参考文献 (社)日本道路協会:道路照明施設設置基準・同解説(2007))

なお基本照明には、上記の平均路面輝度の他に輝度均斉度(総合均斉度:0.4以上、車線軸均斉度(推奨値):0.6以上)、視機能低下グレア(15%以下)、誘導性といった性能指標が存在します。また、「フリッカ現象(ちらつき)」や「路面と壁面の輝度比」にも配慮を要する必要があります。

2.2 入口部照明

入口部照明は図2.5に示すように構成されており、各区間の輝度と長さは表2.2のように定められています。

L₁
境界部の路面輝度(cd/m²)
L₂
移行部最終点の路面輝度(cd/m²)
L₃
基本照明の平均路面輝度(cd/m²)
ℓ₁
境界部の長さ(m)
ℓ₂
移行部の長さ(m)
ℓ₃
緩和部の長さ(m)
ℓ₄
入口部照明の長さ(m)

図2.5 入口照明の構成

(参考文献 (社)日本道路協会:道路照明施設設置基準・同解説(2007))

表2.2 入口照明各区間の輝度と長さ(野外輝度3300cd/m²の場合)
設計速度
(km/h)
路面輝度(cd/m²) 長さ(m)
L₁ L₂ L₃ l₁ l₂ l₃ l₄
100 95 47 9 55 150 135 340
80 83 46 4.5 40 100 150 290
70 70 40 3.2 30 80 140 250
60 58 35 2.3 25 65 130 220
50 41 26 1.9 20 50 105 175
40 29 20 1.5 15 30 85 130
  • ※野外輝度とは、トンネル入口手前150(m)の地点、路上1.5(m)からトンネル坑口を見た時の、トンネル坑口を中心とした20度視野の平均輝度のことをいいます。

(参考文献 (社)日本道路協会:道路照明施設設置基準・同解説(2007))

また、基本照明と同様に「路面と壁面の輝度比」にも配慮を要する必要があります。

2.3 出口部照明

出口部照明は以下に示す条件が重なる時に設置します。

  • 設計速度が80(km/h)以上
  • 出口付近の野外輝度が5,000(cd/m²)以上
  • 延長が400(m)以上

なお、トンネル出口部照明の基準値は昼間時の鉛直面照度で設定することになっており、その値は出口部の野外輝度の数値の12(%)とし、照明区間は80(m)とします。

2.4 特殊構造部の照明

トンネルの特殊構造部は、以下の各々について推奨値が示されています。

分合流部
基本照明の1.5倍〜2倍。
非常駐車帯
夜間減灯時においても基本照明と併せて路面照度50(ℓx)以上。ただし、本線照度が50(ℓx)以上の場合は、本線照度と同等の明るさを保つ必要があります。
歩道部
夜間減灯時においても基本照明と併せて路面照度5(ℓx)以上。
避難通路
避難連絡抗は水平面照度を20(ℓx)以上、避難抗及び避難口には水平面照度10(ℓx)以上。

2.5 停電時照明

次に示す明るさを満たす必要があります。

  • 予備発電装置により照明する場合の照明レベルは、基本照明の概ね1/4以上
  • 無停電電源装置により照明する場合の照明レベルは、基本照明の概ね1/8以上

2.6 接続道路の照明

明確な基準はありませんが、入口付近に1~2基程度設置されている事例が多く見られます。なお、トンネル出口付近の道路線形が急激に変化している時には、灯具の配置に十分な注意を払い、器具の光学的誘導効果によって道路の線形が予知できるようにする必要があります。

(2020年11月20日入稿)

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