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照明技術資料

光源・安定器

HIDランプと安定器

各種HIDランプの特性

(1)点灯姿勢と光束

高圧ナトリウムランプは点灯姿勢による光束の影響はほとんどありません。水銀ランプは鉛直点灯に対して、水平点灯の場合約5〜7%程度低下します。
メタルハライドランプは点灯姿勢によって発光管の最冷部の温度が変わり、その温度に応じた金属蒸気が変化するため、図3.1に示すように著しい影響を受けます。

図3.1 点灯姿勢とランプ光束

(2)始動、再始動時間

HIDランプの諸特性は、発光管内の蒸気圧によって定まるため、点灯してから明るさが安定するまで時間(始動時間)がかかります。始動時間には各種定義がありますが、ここでは「光束が安定状態の80%に達する時間」で比較します。また、消灯直後のランプは高温で、発光管内の金属蒸気圧も高いため、点灯しにくい状態になっています。それ故、発光管温度が下がって放電開始が可能な状態になるまで時間(再始動時間)がかかります。これらの時間はランプの種類、使用している安定器や器具によって差異があります。各種HIDランプの始動、再始動時間は、表3.1の通りです。

表3.1 各種HIDランプの始動、再始動時間(裸点灯時:ランプ単体)

ランプの種類 項目  
始動時間[80%光束到達] 再始動時間
ハイラックス2500 約6分 約1分
ハイラックス(MT) 約4分 約10分
FECマルチハイエースH 約4分 約13分
マルチメタルランプ 約4分 約12分
クリーンエース 約4分 約12分
FECサンルクスエース 約3分 約13分
サンルクスエース60 約3分 約12分
スペシャルクス 約6分 約8分
両口金形サンルクス 約4分 約30秒(※)
高圧水銀ランプ 約4分 約5分
セルフバラスト水銀ランプ 約2分 約5分
ツインアーク(HF/NH) 約4分/3分 約12分
HIDカラーランプ(ブルー・グリーン/オレンジ) 約4分/3分 約12分
低圧ナトリウムランプ 約8分 瞬時
  • ※ 瞬時再始動形安定器も使用できます。

(3)立消特性

3.1 立消電圧

HIDランプは交流電源の半サイクルごとに再点弧と消弧を繰返しています。ランプ電圧が諸原因によって上昇するか、電源電圧が降下すると、チラツキを生じたり、立消えと再点灯を繰返すことがあります。図3.2に瞬時電圧降下と立消えの関係を示します。

図3.2 瞬時電圧降下と立消え

3.2 電源切替え時間と立消え

常用電源から予備電源への切替え速度や瞬時停電から、電源切替時間とHIDランプの立消えについて問題となることがあります。
ランプ立消えは半サイクルが分岐点となっており、半サイクル以上の電源オフ状態ではほとんどのランプが立消えします。定電力形安定器使用の場合とランプ電圧が低い場合には、ランプが若干立消えしにくい傾向にあります。図3.3に50Hz電源における電源切替え時間と不点灯率の関係を示します。

図3.3 電源切替え時間と不点灯率(50Hz電源)

(4)ランプ電圧とランプ電力

HIDランプのランプ電力は、電源電圧・安定器・ランプの種類によって変化し、図3.4〜図3.7に示すように、ランプ特性曲線と安定器特性曲線の交点として動作点が定まります。
ランプを始動させると、発光管に封入された金属が蒸発し、その蒸気圧が徐々に上昇するとともに、ランプのインピーダンスが大きくなり、ランプ電極間の電圧降下(ランプ電圧)も大きくなるため、ランプ電圧が次第に上昇して動作点で安定します。


図3.4 水銀ランプ400W
(安定器:H4CC2A)


図3.5 水銀ランプ400W
(安定器:H4RC2A)


図3.6 FECサンルクスエース360W
(安定器:H4CC2A)


図3.7 ハイラックス2500 150W
(安定器:NHS1.5CCP2A&HX1.5ESH1/2)

(5)点灯条件とランプ寿命

5.1 電源電圧変動とランプ寿命(残存率)

HIDランプや安定器は、適正な使用条件で最高の性能を発揮するよう設計されており、電源電圧が高すぎても低すぎてもランプは短寿命になります。電源電圧が高すぎる場合は、過負荷点灯となり電極の損耗や発光管の劣化が促進されます。反対に低すぎると、始動、立消性能などが最適設計から外れるため電極の損耗が促進し、また使用中に始動電圧が上昇するため、低い電圧で点灯できなくなり、結果的に短寿命になります。図3.8〜図3.11に電源電圧変動とランプ寿命の関係を示します。また、図3.12に電源電圧変動と残存率の関係を示します。


図3.8 高圧水銀ランプ
(一般安定器組合わせ)


図3.9 高圧水銀ランプ
(定電力形安定器組合わせ)


図3.10 FECマルチハイエースH
(水銀灯一般形安定器組合わせ)


図3.11 サンルクスエース
(水銀灯一般形安定器組合わせ)


図3.12 電源電圧変動と残存率
(低圧ナトリウムランプ)

 

5.2 点滅頻度とランプ寿命(残存率)

HIDランプ(高輝度放電ランプ)は、点灯してから安定するまで時間がかかり、このとき(以下“始動時”という)の負担が最も大きいため、点滅頻度が多い場合にはランプ寿命が短くなります。点滅頻度とランプ寿命との間には一定の関係があり、点滅頻度が2倍となり1回当たりの点灯時間が半分になると、ランプの寿命は75%に短縮します。
この関係を、1回当たりの点灯時間を10時間とした場合の寿命時間を100%として、相対寿命との関係をグラフ化しますと、図3.13のようになります。
図3.14に低圧ナトリウムランプの点滅頻度とランプ寿命の関係を示します。


図3.13 点滅頻度とランプ寿命


図3.14 低圧ナトリウムランプの点滅頻度とランプ寿命

(6)周囲温度の影響

高圧放電ランプの光束は外球内に設けている発光管の管壁温度が500〜800℃と非常に高温であり、特に高圧ナトリウムランプは外球内が真空で発光管が外気と熱的に絶縁された構造であることなどから周囲温度の影響をほとんど受けません。

しかし、水銀ランプとマルチメタルランプは図3.15に示すように周囲温度が低くなるにつれて始動電圧が高くなり点灯しにくくなります。高圧ナトリウムランプは外球内が真空であるため、低温域でも常温と同様に始動点灯します。また、表3.2は低温領域における各種光源の使用温度範囲を示したものです。


図3.15周囲温度と始動特性


表3.2低温領域における各種光源の使用温度範囲

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