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照明技術資料

光源・安定器

蛍光ランプと安定器

蛍光灯安定器

(1)安定器の基礎知識

1.1 安定器の役割

安定器は、ランプ電流をランプに合った値に制御するとともに、ランプの点灯に必要な開始電圧と、電極に適正な予熱電圧を供給します。また、力率の改善や電波障害等の機能を備えた、コンデンサを内蔵する種類もあります。
このように、蛍光灯器具の心臓といえる安定器の良否は、蛍光ランプの効率、寿命等に直接影響します。

1.2 安定器の構造

図4.9に代表的な例として40W2灯用ラピッドスタート形安定器の構造を示します。

図4.9 蛍光灯安定器の構造

(2)ラピッドスタート形安定器

2.1 進相形(SRHCタイプ)

図4.10はリードピーク形の点灯回路で、2次側に局部磁気飽和をさせて高いピーク電圧を作り、低い実効2次電圧で始動させ進相回路で安定度もよい安定器です。

2.2 ラピッドスタートシーケンス形(SRSタイプ)

ラピッドスタート形安定器を小型軽量化した、性能的にも優れた安定器が、ラピッドスタートシーケンス形安定器です。図4.11のような安定器PF42SRS1A(40W2灯用100V)を例にとって説明します。
まず、黒(茶)-白間に電源電圧を加えたとき、3・4・5のコイル電圧によって、各ランプのフィラメントが予熱され、放電しやすい状態になります。同時に、1・2のコイルで昇圧された約290Vの2次電圧が、進相用コンデンサ(Cm)および始動用コンデンサ(Cs)を介して、蛍光ランプ(B)に印加されます。すると蛍光ランプ(B)はすぐに微放電を行います。この微放電電流により高インピーダンスの始動用コンデンサ(Cs)に高い電圧降下が生じ、この電圧が蛍光ランプ(A)に印加され、同様に微放電を開始します。
2灯のランプが微放電を開始しますと、蛍光ランプのインピーダンスが急激に低下し、始動用コンデンサ(Cs)のインピーダンスより著しく小さくなるため、2灯のランプは直列回路になりアーク放電に移ります。


図4.10 40W1灯用ラビッドスタート式進相形
(PF41SRHC1(2)A)


図4.11 ラビッドスタート式シーケンス形
(直列2灯用)
(PF41SRS1(2)A)

(3)予熱始動形安定器

3.1 チョークコイル形(GLD,SGLDタイプ)

一般に放電ランプはその動作電圧(ランプ電圧)では始動せず、動作電圧の2倍程度の電圧が始動電圧として必要です。
図4.12はチョークコイル形安定器の基本回路で、フィラメントを予熱し、かつ高電圧キックを得て始動させます。


図4.12 チョークコイル形安定器
(F11GLD1A,F21SGLD1A,
F31SGLD1A,F41GLD2A)

3.2 漏れ変圧器形安定器(GLDタイプ)

図4.13はチョークコイル形と同様にフィラメントを予熱し、かつ高電圧キックを得て起動させます。


図4.13 漏れ変圧器形安定器
(F3.2GLD1A,F41GLD1A)

(4)保護機能付安定器について

蛍光灯安定器はラピッドスタート式の全品種およびグロースタート式の一部に温度ヒューズ式の保護装置を内蔵しています。
この保護装置は、一般に安定器が寿命に至り過熱し、安定器の温度が危険なレベルに達したときに動作して回路を遮断し、近接した部材等が燃焼に至るような安定器表面温度となることを防止するものです。
また、過電圧や高周囲温度のもとで使用された場合にも動作し、同様に回路を遮断します。
保護機能付安定器とは、JISC8108(蛍光灯安定器)によれば、自動復帰形保護装置付安定器、非復帰形保護機構付安定器および過熱保護形安定器の総称とされています。
当社では、その内の非復帰形保護機構付き安定器を採用しています。温度ヒューズは、巻線の温度を容易に感知できるように、巻線と鉄心の近くに配置してあり、温度が高くなると構成部の一部を溶断して回路を遮断します。
ただし、この動作は非復帰性のものですので一度動作しますと二度と点灯することはありません。
現在採用している温度ヒューズの動作温度は、安定器の品種によりそれぞれ設計が異り、必ずしも同一温度とは限りません。代表的な安定器に使用している温度ヒューズの定格特性は表4.2のとおりです。

表4.2 温度フィーズの定格、特性

当社安定器使用温度ヒューズ
公称動作温度定格電流定格電圧取得安全規格
40W1灯用
40W2灯用
150℃AC2AAC250V
  • 電気用品取締法(日本)
  • UL(アメリカ)
  • VDE(ドイツ)
  • BEAB(イギリス)
110W1灯用
110W2灯用
157℃AC10AAC250V

(5)Hf蛍光ランプ用安定器

Hf蛍光ランプ用安定器は、Hf蛍光ランプの性能を最大限に引出し、さらに次に述べるとおり、さまざまな付加価値を加えたHf蛍光ランプ専用の安定器です。Hf蛍光ランプ専用安定器構造を図4.14に示します。

図4.14 Hf蛍光ランプ専用安定器

5.1 特長

5.1.1 省電力が図れる

Hf蛍光ランプとの組合わせで、100ℓm/Wの高効率です。その結果、従来の3灯用の明るさを2灯で実現でき、消費電力も少ないので省電力が図れます。蛍光ランプの省電力比較は、表4.3の通りです。

表4.3 蛍光ランプの省電力比較

入力電力(W) 光束(ℓm) 消費効率(ℓm/W)
従来形3灯用(FLR40SW/M+SRSF) 128 9000 70.3
Hf蛍光ランプ2灯用(高出力点灯時) 98 9000 91.8
5.1.2 光出力の切替えが可能

安定器に付属しているコネクタの接続、切離しで、32W、45W点灯の切替えができ、その時の入出力は表4.4の通りです。

表4.4 点灯区分の光出力

点灯区分 入力 光出力
32W 72W 6400ℓm(3200ℓm×2)
45W 98W 9000ℓm(4500ℓm×2)
  • ※:出荷時はコネクタが切離されており、45W点灯にセットされています。32W点灯する時はコネクタを接続することにより切替わります。

なお、図4.15のようにコネクタをリレーを介して接続しておくと、スイッチによる手動切替え、タイマーやセンサーを用いた自動切替えが行えます。

図4.15 安定器の接続図

5.1.3 光出力が平坦

図4.16に示すように完全平滑された直流を高周波に変換して点灯するため、光出力のリップル分(波状に変動する成分)が少なく、人の目に感じるチラツキやビデオ撮影等に影響がありません。

図4.16 光出力のリップル比較

5.1.4 高調波電流が少ない

アクティブ平滑フィルタの採用により、入力電流の高調波含有率を大幅に低減し、JIS C 61000-3-2(2005年)による照明機器の高調波限度値も満足しています。特に問題になることが多い3次、5次の値が低いので、他の機器への影響を考える必要はありません。表4.5に入力電流の高調波含有率(基本電流比)の比較を示します。また、図4.17に各安定器の入力電流形比較を示します。

表4.5 入力電流の高調波含有率(基本電流比)の比較

基本波電流比(%)
高調波次数 3 5 7 9
JIS・クラスC限度値
(※JIS C 61000-3-2)
30×λ以下 10以下 7以下 5以下
Hfランプ用電子安定器 100V32W 5.5 2.7 1.7 1.2
100V45W 3.6 2.0 1.0 0.7
200V32W 4.3 5.4 4.6 2.4
200V45W 3.3 5.0 3.6 2.2
従来形施設用電子安定器 21.5 5.9 17.9 9.4
一般形安定器(銅鉄形) 6.4 4.8 1.8 1.6

(参考文献:参考文献JIS-C-61000-3-2)

  • Hfランプ用電子安定器

  • 従来形施設用電子安定器

  • 一般形安定器(銅鉄安定器)

図4.17 入力電流形の比較

5.1.5 使用電圧範囲が広い

図4.18に示すように全波整流後、チョッパ回路を用いたDC-DCコンバータで出力電圧を一定に制御し、入力電圧の変動と関係なく一定の入力電力を維持します。これにより電源電圧90V〜220Vの範囲で光出力の変動なく使用できます。この結果、次のようなメリットが出てきます。

  • 電源電圧100Vの場合、過電圧がかっても安定器やランプに悪影響は全くありません。
  • 電源電圧200Vの場合や、高層ビルなどで配線恒長が長い場合などで、電圧が低下しても、明るさに影響ありません。
  • 施設の改修などで電源電圧を変更する場合でも、器具を替える必要がありません。


図4.18 諸量の変化と電源電圧

5.1.6 高力率である

高調波低減のための回路(アクティブ平滑フィルタ)の働きにより、力率はほとんど100%に改善できるので、100V時、200V時、32W点灯時、45W点灯時とも極めて高い力率が得られています。Hf蛍光ランプ用電子安定器[PF3.22EDXP1/2]の力率は、表4.6の通りです。

表4.6 Hf蛍光ランプ用電子安定器[PF3.22EDXP1/2]の力率

32W点灯時力率(%) 45W点灯時力率(%)
100V 100 98
200V 100 98
5.1.7 点灯モードによる寿命の差がない

始動は45W点灯で行い、32W点灯時はその後に32Wへシフトしますので、ランプ寿命に対する始動の影響は32W、45Wとも同等です。また、ランプはどちらの点灯モードとも同一の寿命なので、点灯モードによる寿命の差はありません。

5.1.8 保守作業の安全が図れる

ランプ不点や無負荷を検知し、2次電圧を遮断する保護機能がついていますので、ランプ交換の際に電源を切り忘れても、感電するおそれがなく安全です。

5.1.9 故障しても火災などの事故を発生しにくい

過電流保護素子の働きで、万一安定器が故障しても発煙発火することはほとんどなく安全です。

5.1.10 軽量・薄型

軽量・薄型のため、施工性に富んだ軽くて薄い器具が作れます。重量と厚みの関係を表4.7に示します。

表4.7 重量と厚みの関係

重量 510g
厚さ 25mm

5.2 Hf蛍光ランプ用電子安定器の回路

Hf蛍光ランプ用電子安定器は、図4.19の回路ブロックで構成されています。


図4.19 Hf蛍光ランプ用電子安定器の回路ブロック

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