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照明技術資料

照明経済と保守計画

エネルギー管理

性能型基準

(1)照明消費エネルギー係数

照明設備に係るエネルギーの効率的利用の程度を評価する判断基準としては、照明消費エネルギー費係数(以下「CEC/L」*)が用いられます。CEC/Lは、建築物に設置される照明設備システム全体が1年間に実際に消費すると予測されるエネルギー量すなわち「年間照明消費エネルギー量」を熱量に換算した値を、その設備システムに対して想定される標準的な年間消費エネルギー量すなわち「年間仮想照明消費エネルギー量」を熱量に換算した値で除したものであり、次式で定義されます。

CEC/L={年間照明消費エネルギー量(kWh/年)×電気の一次エネルギー換算値(kJ/kWh)}/{年間仮想照明消費エネルギー量(kWh/年)×電気の一次エネルギー換算値(kJ/kWh)}

この式では、値が小さいほどその照明設備システムに係わるエネルギーがより効率的に利用されていることを意味し、この値を照明設備システムが設けられるすべての用途の建築物に対して、表3.1に示すように、1.0以下とすることが求められています。

  • *Coefficient of Energy Consumption for Lightingの略

表3.1 評価基準

建築物の用途 ホテル等 病院等 物品販売業を営む店舗等 事務所等 学校等 飲食店等 集会所等 工場等
CEC/L基準値 1.0

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人建築環境・省エネルギー機構)


(2)CEC/Lの計算

消費エネルギー量は、計算書ではその他設備との比較の必要から熱量表示が求められますが、CEC/Lの計算では熱量に換算する必要はありません。

CEC/L={年間照明消費エネルギー量(kWh/時)×電気の一次エネルギー換算値(kJ/kWh)}/{年間仮想照明消費エネルギー量(kWh/年)×電気の一次エネルギー換算値(kJ/kWh)}=ΣET/ΣES=Σ(WT×A×T×F/1000)/Σ(WS×A×T×Q1×Q2/1000)


評価計算式の各記号の名称・定義および求め方

ET各室(区画)の年間照明消費電力量(kWh)
ES各室(区画)の年間仮想照明消費電力量(kWh)
WT各室(区画)の計画照明消費電力(W/m²)
WS各室(区画)の標準照明消費電力(W/m²)
A各室(区画)の床面積(m²)
T各室(区画)の年間照明点灯時間(h)
F照明設備の制御による補正係数(無次元)
Q1照明設備の種類による補正係数(無次元)
Q2照明設備の照度による補正係数(無次元)

CEC/L計算のフローを図3.1に示します。


図3.1 CEC/L計算のフロー


(3)年間照明消費エネルギー量

CEC/Lの分子である「年間照明消費エネルギー量(kWh/年)」は、実際に建設される建築物の照明計画において採用される照明設備システム、制御設備システムにおいて、建築物全体として1年間に消費すると計算予想される照明エネルギー量です。照明設備システムが設置される照明区画毎に、「計画照明消費電力Wt(W/m²)」にその空間の「床面積A(m²)」と空間の機能別にあらかじめ定められている「年間標準照明点灯時間T(h)」(表3.2)を乗じて求めた値すなわち「照明消費電力量Et(kWh/年)」を、全ての照明区画について積算して求めます。

建築物の各照明区画に設置される照明設備システムにエネルギー消費の低減に有効な制御システムが採用される場合には、その有効性に応じて「照明設備の制御等による補正係数F(無次元)」(表3.3)を当該照明区画の照明消費電力量に乗じてその低減分を補正します。

実務上の計算過程では、計画照明消費電力Wtと床面積Aの積は、照明器具1台あたりの入力電力(安定器損失を含む)と照明器具台数の積として直接的に算出されるため、実際にはWtを計算する必要がありませんが、計画照明消費電力Wtを標準照明消費電力Wsに照らして検討することは、計画上は有意義で必要な過程です。


表3.2 Tの設定値

  1日の使用時間
24h 16h 12h 8h 4h 2h
年間稼動日数 365日(年間全日) 9,000 6,000 4,500 3,000 1,500 700
310日(週1休) 7,500 5,000 3,750 2,500 1,250 600
248日(土日祝休) 6,000 4,000 3,000 2,000 1,000 500
不定期、間欠的利用 24×日数 16×日数 12×日数 8×日数 4×日数 2×日数
  • 評価対象の空間(区間)毎に、年間稼働日数と照明設備システムの1日使用時間を勘案して、一番近似する欄の数値を選択する。
  • 当該評価対象建築物の年間稼働日とは無関係に照明設備システムが使用される空間(区間)については、相当する年間稼働日の欄を参照する。
  • 不定期あるいは間欠的に使用される照明設備システムにおいては、その使用の実情に応じて、最下欄の数値を使用する。
  • 計画や設計に伴い、別途正確な年間点灯時間の推定がなされている場合は、その数値を用いてもよい。

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


表3.3 照明施設の制御による補正係数F

制御の方法 係数
カード、センサ等による在室検知制御 0.80
明るさ感知による自動点滅制御
適正照度制御 0.85
タイムスケジュール制御 0.90
昼光利用照明制御
ゾーニング制御
局所制御
その他 1.00

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


(4)年間仮想照明消費エネルギー量

CEC/Lの分母である「年間仮想照明消費エネルギー量(kWh/年)」は、建築物におけるさまざまな照明区画を標準的な照明設備システムにより照明することで照明環境の質を一定のレベルに維持する場合に必要な照明エネルギー量について、建築物全体として1年間に消費すると計算予測される照明エネルギー量です。照明設備システムが設置される建築物の照明区画毎に、空間の機能別にあらかじめ定められている「標準照明消費電力Ws(W/m²)」(表3.4、3.5)にその区画の「床面積A(m²)」と空間の機能別にあらかじめ定められている「年間照明点灯時間(h)」を乗じて求めた値、すなわち「仮想照明消費電力量Es(kWh/年)」をすべての照明区画について積算して求めます。

用途などの観点から高度の視機能が要求される照明環境や高い質的水準を必要とする照明環境については、そのために要する最低限のエネルギー消費の増加を許容する必要があります。そのため、建築物の照明区画に設置される照明設備システムが標準より若干多くのエネルギー消費を必要とする場合には、その必要の程度に応じて2種類の補正がなされます。すなわち「照明設備の種類による補正係数Q1(無次元)」と「照明設備の照度による補正係数Q2(無次元)」を当該空間の標準照明消費電力量に乗じて、質的向上のための消費エネルギーの増加をあらかじめ標準照明消費エネルギー量を表現する分母に見込むことを意味します(表3.6、表3.7)。


表3.4 Wsの設定値(一般空間)

カテゴリー 対象空間の例 Ws(W/m²)
1 玄関ホール・エントランス(店舗) 55
2 営業室(官庁・銀行・証券・記入・保険・商社・不動産・建設などあらゆる業種)製図質・設計室・デザイン室 40
3 玄関ホール・エントランス(店舗以外)
ラウンジ・フロント・受付
コンピュータ室・管理室・制御室・監視室・防災センター
商品展示室・ディスプレイ空間
店舗売り場
30
4 EVホール・エスカレーター空間
事務室・会議室・応接室・待合室・談話室
書庫・ファイル室・資料室・印刷室・図書室・閲覧室・メディア視聴室
教室・講義室・研修室・実習室・準備室・集会室・CAD/DVT室・言語ラボ
売店・チケットカウンター
食堂・レストラン・喫茶室・厨房
20
5 便所・洗面所・浴室
喫煙室・リフレッシュ空間・給湯室
更衣室・休養室・控え室・当直室・仮眠室・用務員室
廊下・通路・会談(外部者利用あり)
15
6 廊下・通路・会談(内部者利用のみ)
倉庫(出入頻度大)
バックヤード・荷積み荷降ろしスペース
10
7 機械室・電気室
駐車場・車路・駐輪場
非常階段
倉庫(出入頻度小および無人倉庫)・車庫
5

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


表3.5 Wsの設定値(特殊空間)

カテゴリー 対象空間の例 Ws(W/m²)
1 手術室・分娩室 55
2 救急窓口
精密機械組み立て色合せなど細かい視作業が伴う工場
40
3 スポーツ公式競技
診察室・薬局
展示スペース(石彫刻・金属彫刻・陶磁器)
宴会場・式場・広間
カラオケ・遊戯場・娯楽施設などの遊戯スペース
30
4 スポーツ一般競技・スポーツ室内競技
検査室・処置室・集中治療室・準備室・ナースステーション・回復室・物理療法室・放射線検査室
幼稚園・保育所の保育室・遊戯室
一般製造工場・修理工場(全般照明のみ)
展示スペース(木彫・彫塑)
楽屋・演者控え室・講師控え室
美容室・調髪室・着付室
20
5 スポーツ練習・レクリエーションスポーツ
宿泊客室
映画・テレビ・写真などのスタジオ(全般照明のみ)
15
6 病室・リネン機材室
老人ホーム・福祉ホーム・児童福祉施設などの居室
宿泊リネン室
観客席(スタジアム、屋内競技場・劇場・映画館・講演など)
自動製造工場
展示スペース(絵画・書道)
神社・寺院・教会などの礼拝スペース
10
7 バー・キャバレー・ナイトクラブなどの客席
ダンスホール・ディスコなどの踊り場
展示スペース(版画・染色・剥製)
5

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


表3.6 照明設備の種類による補正係数Q1

  種類 補正係数Q1
(1) まぶしさを制御するためにルーバ、透光性カバーなどを採用するなど、特別の措置が講じられている照明設備 1.3
(2) その他 1.0
  • ※注:(1)の照明設備の中には、埋め込みダウンライト(光源を問わない。ただし器具下面から光源が露出しないものに限る)や間接照明、建築化照明等が含まれる。建築化照明とは、ウォールウォッシャー照明、コーブ照明、コーニス照明、バランス照明、光天井照明、ルーバ天井照明等のことである。特別の調査又は研究の成果に基づいて係数を算出する場合は、その数値を補正係数Q1として用いることができる。

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


表3.7 照明設備の照度による補正係数Q2

用途 補正係数Q2
(1) 物品販売業を営む店舗等の売場および事務所等の事務室 L/750
(2) 学校等の教室 L/500
(3) その他 1.0
この表において、Lは設計照度(単位ルクス)を表すものとする。
  • 「物品販売業を営む店舗等」とは、百貨店、マーケット、その他エネルギーの使用の状況に関してこれらに類するものをいう。
  • 「事務所等」とは、事務所、税務署、警察署、消防署、地方公共団体の支庁、図書館、博物館、郵便局その他エネルギーの使用の状況に関してこれらに類するものをいう。
  • 「学校等」とは、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校、各種学校その他エネルギーの使用の状況に関してこれらに類するものをいう。
  • ※注:(1)については、物品販売業を営む店舗等の売場の全般照明を白熱電球照明(ハロゲン電球の照明も含む)で行う場合において、商品展示の照明効果を強調するために、計画的に全般照明による照度を低く抑える場合に限っては、照度の補正を行わない。

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)


(5)CEC/Lによる評価のしくみと省エネルギー手法

建築物の照明設備システムにおける消費エネルギーの効率的利用を評価する判断基準としてのCEC/Lは、標準的な照明環境あるいは、それより幾分質の高い照明環境を実現させる場合、分子で表現される照明設備システムの使用エネルギーを、分母で表現される標準的消費エネルギー以下に抑制して、エネルギーの乱用を防止することを意図しています。分母の標準的消費エネルギーは、評価対象となる空間の個別の事情や要求に対応した補正により、増減が可能とされるのでCEC/Lは、照明設備システムの消費エネルギー効率を問う指標であり、消費エネルギー量の絶対値に言及するものではありません。

努力の方向としては、各種の照明の省エネルギーのための技術的手法をより多く採用してCEC/Lの分子の値をできるだけ小さくすることになります。判断基準を満たすためのみの目的で必然性のない照度低下など照明環境の質の悪化を伴うような計画は戒めるべきで、そのための工夫がなされています。

照明設備システムに採用可能な代表的な省エネルギー手法としては、表3.8に示すものがあります。
照明設備に係わる手法は、計画照明設備電力Wtを、制御設備にかかわる手法は、照明設備の制御等による補正係数Fを、いずれもより小さな値にすることで、照明のための消費エネルギーの低減に寄与します。


表3.8 照明装置における省エネルギー手法

照明設備に係わる手法
  1. 高効率光源の採用
  2. 省電力型安定器の採用
  3. 高効率照明器具の採用
  4. 照明方式の工夫
制御設備に係わる手法
  1. カード、センサ等による在室検知制御
  2. 明るさ感による自動点滅制御
  3. 適正照度制御
  4. 照明方式の工夫(TAL照明方式の採用)
  5. 昼光利用制御
  6. ゾーニング制御
  7. 局所制御

「建築物の省エネルギー基準と計算の手引き」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

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