光応用の知識

電子線滅菌

7.電子線の浸透深さ

γ線、X線と異なり、電子線は粒子線ですので、その浸透力には限界があります。逆にいうと、必要な浸透力をコントロールすることが出来るのです。これは電子線の大きな特徴ということが出来るでしょう。

電子線の浸透力は、その加速電圧によって決まります。すなわち、加速電圧が大きいほどより深くまで電子は到達することが出来ます。また、被照射物の密度にも影響され、密度が小さいほどより深くまで浸透します。

図5に100keV~300kV電子線の浸透深さを示しました。
横軸は面密度と呼ばれるもので電子線の浸透深さを論じるときに使用される特有の単位です。例えば、比重1の物質(水など)を考えた場合、横軸はそのまま浸透深さµmに換算されます。
縦軸は表面での電子線の照射線量を100%としたときの各々の深さに到達した電子線の割合を示しています。
利用効率を考慮して電子線の照射効果があるのは表面線量に対する線量の割合が60%程度の深さまでとすると、浸透深さは20g/m²となります。つまり、比重1の物質では20µmの浸透深さを示すことになります。これは市販されている家庭用ラップを通す程度の浸透力です。したがって、100kV電子線はおもに表面処理に利用される事になります。これは、コーティング等の場合、基材の劣化が少ないという利点があります。

図4 各放射線の浸透イメージ

図5 電子線の浸透深さ

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