技術資料

LEDioc® LEDライトバルブ™ F 124W / 79W

製造統括本部 照明部 LEDオプトデザイン課
製造統括本部 照明部 第一商品開発課
製造統括本部 光源部 LEDランプ課

キーワード

LEDランプ,LEDライトバルブ™ F,空冷ファン,強制空冷,電源別置,省エネ,投光器

1.はじめに

現在,既存のHID投光器に使用できるLEDランプは,弊社を含め他社からも発売されていない。これは投光器のような小型の密閉器具では,一般の自然空冷方式では排熱が十分ではなく,LEDランプの出力が上げられないためである。しかし投光器で使用できるLEDランプの要望は多く,この要望に答えるべく,小型の密閉器具で使用可能な強制空冷ファン付のLEDランプの商品化を行った。

2.商品概要

ランプの外観を図1に,商品仕様を表1に示す。色温度は5000Kと2700Kの2タイプをラインアップした。適合器具を表2に示す。

図1 ランプ外観図(LEDライトバルブF 124W)

表1 商品仕様
ランプ形式 LDS124N(L)-G-E39FA LDS79N(L)-G-E39FA 備考
ランプ電力(W) 124 79
全光束(ℓm) 17000(13600) 9600(7600) ( )内は電球色
定格寿命(時間) 40000 40000 ファンを含む設計寿命
相関色温度(K) 5000(2700) 5000(2700) ( )内は電球色
平均演色評価数 Ra65(83) Ra65(83) ( )内は電球色
全長(mm) 257 257  
外径(mm) ø95 ø95  
質量(g) 540
(防振パッキン込)
495
(防振パッキン込)
79Wはヒートシンクを
軽量化
代替HIDランプ 水銀ランプ400W 水銀ランプ250W  
表2 適合器具
HID丸型投光器 アイ スポラート®
適合器具型式 H373S(D) H367SX(DX) H366SX(DX) H380SX
HID丸型投光器 ビームオン®
適合器具型式 H375SX(DX) H374SX(DX)
  • ※上記HID丸型投光器以外は,現在適合不可(耐震形投光器含む)。

3.機能・特長

3.1 強制空冷方式の採用

小型の密閉型器具は,従来の自然空冷では放熱が不十分で,また寸法や重量等に制約がある事から,商品化に対応する事が困難であった。しかし空冷ファンを使用した強制空冷方式(図2参照)の採用によって,小型で軽量かつ高効率のLEDランプの開発が可能となり,このランプを使用した小型密閉型器具である丸型投光器において,水銀ランプ400Wと同等以上の配光性能を実現した。図3に,ライトバルブF 124Wを使用した器具の照度分布図の比較を示す。

図2 強制空冷方式

図3 照度分布比較(LEDライトバルブF 124W)

図4 経済比較(LEDライトバルブF 124W)

  • A水銀ランプ 400W(200V安定器)
  • Bレディオック LEDライトバルブF 124W(200V時)

消費電力※1

  • A1660W(415W×4)
  • B548W(137W×4)

約67%省エネ

年間電気料金※2

  • A166,000円
  • B54,800円

約11万円お得

光源寿命

  • A12000時間
  • B40000時間

約3.3倍

  • ※1 水銀ランプの消費電力は400W(電源電圧200V時)の特性を示す。
  • ※2 電気料金は25円/kWh(税抜)、年間点灯時間は4000時間で計算。

3.2 高温耐久用空冷ファンの採用

高温環境下にて使用する事を前提とした空冷ファンを採用した事により,ランプ点灯時の高温環境下において,124W,79W共に定格寿命40000時間を実現した。

3.3 ランプの落下防止対策

口金部にシリコン製の防振パッキンを付属させ,ランプの落下防止対策とした。ランプ取付け時,防振パッキンでソケット部と口金部が密着する事で,地震等による口金の緩みを防止する事ができ,ユニバーサル点灯を実現させた。

3.4 長寿命,少メンテナンス,省エネ化

強制空冷方式によって小型密閉型器具であるHID丸型投光器を使用した場合に,水銀ランプに比べて,約3.3倍の定格寿命40000時間を達成し,メンテナンスコストを削減した。消費電力に関しては,124W(電圧200V)であり,水銀ランプ400Wと比較して,約67%の省エネ効果を実現した(図4参照)。

3.5 温度保護回路内蔵による安全性確保(ファン故障時対策)

万が一内蔵ファンが故障し,停止又は満足な風量が得られなくなった場合には,LED素子及び器具内部温度が急激に上昇するため,内蔵された復帰型の温度保護回路により,ランプを消灯させる事によって,発煙・発火や樹脂部品の脱落等を防ぐ。また復帰型の温度保護回路により,器具内部温度が高い昼間にランプを点灯し続け,温度保護回路が動作した場合には,ランプは交換せずとも,電源をリセットする事で再点灯可能となる。

3.6 幅広い使用環境

点灯電圧は,100V/200~242Vのフリー電圧,50/60Hz共用で,使用温度範囲は-20~+40℃と幅広い温度範囲で使用が可能。なお,124W,79W共にそれぞれ専用電源と組み合わせて使用する。

4.おわりに

本商品は,ランプ内部に空冷ファンを搭載した次世代型のLEDランプである。放熱性の問題から困難であった小型密閉型器具である丸型投光器用のLEDランプの商品化により,LEDランプのバリエーションを拡充する事ができた。

今後の課題としては,今回確立した強制空冷方式を水平展開する事で,放熱の問題により適合不可であった高ワットランプ用密閉型器具への対応を検討していく。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第32号掲載記事に基づいて作成しました。
(2015年5月22日入稿)


テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。