技術資料

水槽照明用ハイラックスビーム™(PAR形)

光源事業部 HIDランプ部 HID技術グループ

キーワード

ハイラックス®,ハイラックスビーム™,水槽照明,ライトアップ,アクセント照明,照明演出,PAR形

1.はじめに

観賞用の水槽照明用ランプは,一般的に蛍光ランプが多く用いられており,HIDランプも一部,カラーランプが使用されてはきたが,高価でありコンパクトではないという理由で,一般ユーザーにはあまり普及しなかったようである。しかし,最近では,海外製品を筆頭に両口金形コンパクトメタルハライドランプが水槽用ランプとして販売されてきており,一般ユーザーの中でも特にマニア向けに需要が見込まれている。

当社には,片口金形及び両口金形で演色性の高い(Ra90以上)「ハイラックス®」の商品名を持つ各種メタルハライドランプがある。「ハイラックスビーム™」は,「ハイラックス®」に反射鏡を内蔵する構成を有し,ランプ自体を器具として使用できるシールドビームタイプの光源として当社は市場に提供してきた。

また,反射ミラーに種々の反射特性の薄膜を蒸着法により施す事によって,発光管からの光色選択が可能となる。

本商品は,青色系光色のPAR形水槽照明用ランプを,既存商品のハイラックスビーム™より,開発したものである。

2.商品概要

図1 ランプ形状及び寸法

ランプ電力150Wでブルー,アクア,アクア2の3種類の光色の異なる発光管を使用し,いずれのランプも,薄膜の反射ミラーを有するPAR形ランプの構成とした。

表1に仕様及び特性を示す。図1にランプ形状及び寸法,図2に現行品を含む5品種のランプの分光分布図を示す。

また,図3には,ランプ光色が分かり易いように色度座標上に色度範囲をプロットした。図4は,薄膜ブルーミラーの分光反射率特性である。

表1 水槽用ハイラックスビーム™の仕様及び特性
  光色種別 タイプA タイプB タイプC タイプD
配光 狭角形 広角形 狭角形 広角形 狭角形 広角形 狭角形 広角形
仕様 寸法 全長 99
ミラー径 112
口金 E26/51×39
特性 ランプ電圧(V) 95
ランプ電流(A) 1.90
全光束(ℓx) 5,000 5,200 6,400 7,300 2,500 2,600 2,500 2,500
最大光度(cd) 6,300 2,800 8,200 3,800 3,000 1,300 680 400
ビームの開き(°) 30×40 70 30×40 70 30×40 70 70×90 130
色度座標 x 0.270±0.025 0.265±0.025 0.190±0.020 0.180±0.020
y 0.215±0.025 0.265±0.025 0.135±0.020 0.090±0.020
平均演色評価数(Ra)
定格寿命 6,000

図3 x-y色度座標図

図4 薄膜ブルーミラーの分光反射率特性

3.特徴・機能

  1. 照明器具はクランプ形で,取り付けが容易な他,他社の両口金形(ハイラックス®,HQIも含む)のものよりコンパクトとなり,ランプの交換により,配光(狭角・広角)が選択できる。さらに,安定器も既存のハイラックス®のものを使用できる。
  2. 照射色は,ブルー,アクア,アクア2,及びブルー+薄膜ミラーの4種類の光色バリエーションを用意しており,空間の用途に合わせた光色の選択が可能である。特に今回,ブルー発光管とブルー反射ミラーの組合せで青色領域以外の照射光を極力抑制することにより(図2最下欄・タイプD),従来不可能であった,濃いブルー色が表現できるようになった。
  3. 寿命は,マルチメタルランプ®のカラーランプ(ブルー)の2倍で6000時間である。
  4. 全品種ともレンズ表面に紫外線遮蔽処理を施して紫外線放射をカットしてあるので,ディスプレイ商品(水槽など)の退色を抑制できる効果もある。

4.おわりに

本商品は既存の両口形ランプを使用する他社の照明器具と競合しているが,照射光色の豊富さ,及び,安価・コンパクトという優位性があるので,今後,需要が増えて行くことが期待される。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第10号掲載記事に基づいて作成しました。
(2004年5月12日入稿)


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