施設報告

矢掛町総合運動公園の照明設備 - 多目的グラウンド，テニス・フットサルコート納入施設例 -

国内営業部 広島営業所 技術課
国内営業部 広島営業所

1．はじめに

岡山県の南西部に位置する矢掛町の矢掛町総合運動公園は，周辺地域のスポーツ・レクリエーションの拠点として，町民だけでなく近隣の人々が多目的に利用できる公園区域約16.6haの総合運動公園である。

また，矢掛町ではまちづくりの方針としてLED照明化を積極的に推進しており，今回の総合運動施設を全てLED照明で照らす手法は全国でも初の導入となった。本稿では同照明設備の概要について紹介する。

2．照明計画

本施設の照明設計を行うにあたり，下記の事項に留意した。

1. 「多目的グラウンド」では，サッカー×1面・ミニサッカー×2面・ソフトボール×2面，「テニス・フットサルコート」では，テニスコート×4面・フットサルコート×2面のそれぞれレクリエーション競技が行える明るさを確保すること。
2. 競技者の視環境に配慮し，グレア(GR)を軽減すること。
3. 周囲環境に配慮し，光漏れを軽減すること。
4. 高効率なLED投光器を採用し，省エネ効果があること。

3．照明設備

本施設のうち「多目的グラウンド」は，高出力形LED投光器(LEDioc FLOOD BLITZ® E4022N/SA1/2.4)を112台採用し，「テニス・フットサルコート」には高出力形LED投光器(LEDioc FLOOD BLITZ® E4022N/SA1/2.4及びE4023N/SA1/2.4)を計72台採用している。

周囲の光漏れ対策としては，指向性が強いLEDの特性と高性能な反射鏡を有する高出力型LED投光器を用いることにより，被照射面以外への漏れ光を制御している(図1，2)。

照明配置は，「多目的グラウンド」，「テニス・フットサルコート」共に8基制とし，取り付け高さは，経済性とグレア等を考慮し，「多目的グラウンド」を最下段20.0mの鉄塔，「テニス・フットサルコート」を最下段13.5mのコンクリート柱としている。

照明器具の角度調整にあたっては，専用の照準器を用いた(図5)。

照明制御はITACS™(LAシステム)を使用しており，主制御盤を管理棟に，将来用として「テニス・フットサルコート」に隣接するクラブハウスに副制御盤を設けることにより，遠方操作及び競技施設を見ながらの操作が行える。さらに，バーコード式照明点灯盤(BOIQS™/ITACS連動型)を使用することにより，管理者が不在であっても事前予約をしていればナイター設備を利用できるよう配慮し，管理者・利用者双方にとっての利便性を図っている。

また，照明点灯は回路毎に10秒程度の間隔で順次点灯させることにより，設備にかかる突入電流の低減にも配慮している。

経済面においては，従来のHID投光器を採用した場合と比較して，多目的グラウンドでは消費電力を約26％削減している。

以下，表1，2に照明設備一覧表，表3，4に点灯パターン一覧表，図8から図15に照度分布図，グレア分布図を示す。

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