施設報告

国道17号巣鴨駅前LED道路照明灯設置工事

国内営業本部 東日本技術設計センター

キーワード

国道17号,巣鴨駅前,LED,道路灯,省エネルギー,平均演色評価数

1.はじめに

国道17号はJR巣鴨駅前の国道であり,近隣には,ソーラーアーケードが設置されている巣鴨駅前商店街やとげぬき地蔵で有名な巣鴨地蔵通り商店街があり,若者からお年寄りまで多くの人々で賑わいを見せる通りである。

国土交通省東京国道事務所では,2015年3月にこの通り沿いの道路灯を改修し,省エネルギーに大きく貢献するLED道路灯を採用した。

本稿では同照明設備の概要について紹介する。

2.照明設計

2.1 設計コンセプト

本件の照明計画にあたっては,以下のコンセプトに基づいて設計を行った。

  1. 消費電力削減による,省エネルギーの実現。
  2. 明るさだけではない,光の質の向上。

2.2 照度

照度は,車道15ℓx,歩道10ℓx,交差点20ℓxを目安に設計を行った(図1参照)。

また,本件は基本的に既設照明柱の置き換えであるが,連続照明と仮定した場合の路面の総合均斉度の検討も行った。検討結果を,照明柱1スパン分の照度分布図として図2,3に示す。LED化により路面の総合均斉度が改善し,運転者の視環境も改善されたと言える。

図1 照度分布図

図2 1スパン照度分布図(改修前)

図3 1スパン照度分布図(改修後)

3.照明設備の概要

3.1 照明柱仕様

改修前後の照明柱の外観をそれぞれ,図4,図5に示す。また,改修前後の照明柱の仕様をそれぞれ,表1,表2に示す。

図4 改修前照明柱外観

表1 改修前の照明柱仕様
光源 色温度 平均演色評価数
車道灯 高圧ナトリウムランプ360W 2100K Ra25
歩道灯 セラミックメタルハライドランプ110W 3500K Ra75

図5 改修後照明柱外観

表2 改修後の照明柱仕様
光源 色温度 平均演色評価数
車道灯 昼白色LED144W 5000K Ra70
歩道灯 電球色LED35.7W 3000K Ra80

3.2 消費電力

道路灯の光源を,高圧ナトリウムランプ360Wと歩道灯セラミックメタルハライドランプ110Wの組合せから昼白色LED144Wと電球色LED35.7Wの組合せに改修したことにより,消費電力は約60%削減され,大幅な省エネルギーとなった。

3.3 色温度

既設の色温度2100Kの高圧ナトリウムランプでは,光色がオレンジ色で暖かみのある雰囲気だったが,色温度5000Kの昼白色LEDに改修したことにより,爽やかで自然な雰囲気となった(図6,図7参照)。

図6 改修前国道夜景

図7 改修後国道夜景

3.4 平均演色評価数

車道灯については,既設の高圧ナトリウムランプではRa25で色の再現性が悪かったが,昼白色LEDに改修したことによりRa70となり自然光により近い色の見え方となった。歩道灯については,既設のセラミックメタルハライドランプ(Ra75)を暖かみのある電球色LEDに改修し,平均演色評価数はさらに高いRa80となった。

4.おわりに

LED道路灯を採用することにより,消費電力,平均演色評価数が大幅に改善し,省エネルギーだけではない質の良い照明環境を実現できた。

今後もLED化により,他の施設でも省エネルギーかつ良質な照明環境を提案していけたらよいと思う。

最後に,本施設照明設備の完成にあたり,御指導,御協力頂いた全ての方々に厚く御礼申し上げる。

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第33号掲載記事に基づいて作成しました。
(2015年11月4日入稿)


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