施設報告

松山中央公園多目的競技場の照明設備

国内営業事業部 第二営業部 近畿技術設計センター
国内営業事業部 営業技術部
国内営業事業部 第二営業部 松山事務所

キーワード

松山中央公園,公営競技場,競輪場,多目的競技場,パワービーム™,角形投光器,ビームオン®

1. はじめに

松山競輪場は,愛媛県松山市中心部の堀之内に位置している。今回,移転計画として松山市坪西町にある松山中央公園内に競輪施設をメインとした多目的競技場を新たに建設し,照明設備工事は平成16年9月に完成した。施設全体としては平成16年12月完成予定である。

松山中央公園内には,多目的競技場の他に,坊ちゃんスタジアム,県立武道館,マドンナスタジアム,屋内運動場,テニスコート,多目的運動広場等のスポーツ施設がある。

今回の多目的競技場は,競輪場として昼間の競技や夜間練習の他に野外コンサート等のイベントやスポーツ合宿にも利用できるなど,多目的な機能を有する競技場である。

本稿では同設備の照明手法や設備概要について紹介する。

施主
松山市
電気施工業者
栗原・共立共同企業体

2.照明設計及び照明手法

図1 点灯状況

本多目的競技場には,競走路照明として夜間練習用と薄暮時の決勝線用照明設備を設置した。また,多目的利用として野外コンサート照明,スポーツ照明,イベント照明などの設備を設けた。施設全体のスペースを有効利用するために走路内側に照明鉄塔を設けないものとし,走路外側からの投光照明方式とした。(図1)

走路及び多目的スペースの照明は下記の事項に留意する必要がある。

  1. コースを効率的にかつ均斉度良く照明する事
  2. 選手・観客へのグレアを軽減させる事
  3. 選手のユニフォームの色を判別しやすく,より鮮明に見えるようにする事
  4. 周辺及び上空への漏れ光を軽減させる事

上記の事項を満足させるためには,次に示す照明手法を用いることが効果的である。

  1. 小型高出力器具の使用
    鉄塔及びメインスタンド屋根からの照明には,ビーム効率が高く小型の器具を使用する。
    (スポーツ照明器具「パワービーム™」)
  2. 高効率器具の使用
    遠方からの照明には,ビーム効率の高い器具を使用する。
    (スポーツ照明器具「ビームオン®」)
  3. 横長配光の器具の使用
    高さの低いスタンド屋根などの近距離から走路を照らす場合,光ムラが生じやすいので軸光度が比較的低く,横長配光の照明器具を使用する。
    (角形投光器)
  4. ルーバの使用
    グレア,漏れ光を軽減させるため器具にルーバを装着する。
    (外付けルーバ,内蔵ルーバ)
  5. 高演色形ランプの使用
    走路照明としては,選手のユニフォームの色の見え方やTV放映を考慮して高演色形(Ra=92)のランプ(高演色高出力形メタルハライドランプ「クウォーツアーク®」)を使用する。
  6. 低誘虫ランプの使用
    多目的照明用に使用するランプは,ランプから出る光の波長のうち虫が好む波長(380nm以下)をカットした低誘虫(UVカット形)メタルハライドランプを使用して飛来してくる虫を約50%軽減(当社比)している。

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