光応用の知識

紫外線殺菌

1.紫外線とは

太陽からは広範囲にわたる電磁波が放射されていて、紫外線はその電磁波の一種です。
紫外線による殺菌は古くから研究され、食品関係、医療関係などいろいろな分野で利用されています。紫外線の殺菌作用は1901年にStrebelが太陽光線に含まれる紫外線から確認したといわれ、1905年には殺菌ランプが初めて作られました。1936年にはGE社により殺菌ランプが開発され、1950年代にはいると、日本では、理髪店での紫外線消毒器の設備が、厚生省令で義務づけられたのをきっかけにして一般に普及していきました。ところが、このタイプの殺菌ランプは出力が小さく、最大でも60W程度のものしかなかったために、殺菌線出力が低く、殺菌にも照射時間を長く必要としたため、その用途は限定されていました。しかし近年、高出力化された殺菌ランプの出現により、紫外線による殺菌方法が再び注目されてきています。

高出力形の最初のランプおよび装置は、スイスにあるブラウン・ボベリ社(B.B.C)が1970年初期から開発に着手し、1975年にはヨーロッパで実際に使用が開始されています。一方、国内でも1980年には岩崎電気(株)他が装置を開発販売しており、他の殺菌方法の有害性がクローズアップされてきたことや、微生物の検査技術の進歩なども、紫外線による殺菌方法が見直されるのを助長したものと思われます。

そこで、紫外線殺菌および高出力殺菌装置の概略を述べると共に、その殺菌事例を紹介いたします。

表-1は、太陽が放射する電磁波の波長範囲とその区分、および代表的な応用例を示したもので、また図-1には、岩崎電気で製造販売している各種光源を一覧表に示してあります。

表-1 放射の波長範囲と区分

波長域 区分 代表的な応用の例
紫外線
(100〜380nm)
(真空紫外線)
100〜200nm
殺菌、清浄作用、光CVD
UV-C
100〜280nm
UV-B
280〜315nm
眼球障害、紅はん、フォトリソグラフィ
UV-A
315〜380nm
光重合、印字、製版
可視域 380〜780nm 植物の光合成、植物の形態形成
赤外線
(780〜1mm)
IR-A
780〜1400nm
光通信、リモートセンシング
IR-B
1.4〜3µm
加熱、加工、乾燥
IR-C
3µm〜1mm

注)波長区分はそれぞれの最大限をとったもので、お互いに重複しています。

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