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障害光の低減

投光照明器具

(1)投光器の区分と特長

投光照明では、照明器具の照射方向(取付け角度)が自由に設定でき、取付け場所も道路・街路照明のように限定されないことが多く、その使い方によっては被照射面外への漏れ光が大きく異なるので、適切な光の広がり(配光)を持つものを選定し、適切な位置に設置することが特に重要です。表10.3に投光器の区分と特徴を示します。

表10.3 投光器の区分と特徴

投光器の区分 特徴 主な用途 参考図(照明器具・配光形状の例)
配光が光軸を中心とした軸対称のタイプ
  • 1つの照明柱に多数設置し多方向に照射するなど広い範囲を高照度で照射する場合に用いる。
  • 配光の広がりに応じて、狭い狭角形、広い広角形、その中間の中角形などがある。
  • 光軸の光度の高いタイプは被照射面までの距離が長い場合や高い位置からの照射に適する。
  • 照射角度によっては、グレアや上方への漏光が大きくなるが、ルーバやフードなどを追加することで抑制できる。
  • 広場
  • 広いグラウンド
  • 広い駐車場
  • モニュメント、樹木、高い建物の照明

配光が横長の矩形もしくは長円形のタイプ
  • 被照射面に沿って列状に配置するなど、特定の範囲を比較的むら無く照射する場合に用いる。
  • 鉛直方向の配光の広がりに応じて、狭い狭角形、広い広角形、その中間の中角形などがある。また配光を縦長にしたタイプのものもある。
  • 1灯で幅の広い範囲を照射することができる。
  • 照射角度によっては、グレアや上方への漏光が大きくなるが、ルーバやフードなどを追加することで抑制できる。
  • 駐車場
  • 比較的狭い広場
  • 屋外プール
  • 屋上広場、コート
  • エプロン(飛行場)
  • 看板照明
  • 壁面照明

配光が上方後方の光を抑制し下方前方へ照射したタイプ
  • 比較的被照射面までの距離が短く、狭い範囲を照射する場合に用いる。
  • あらかじめ用途に応じた配光となっているため、器具はそのまま水平に取り付けて用いることが多い。
  • 上方への漏光は大幅に規制できる。
  • 駐車場
  • 建物外周の広場
  • テニスコート
  • 中庭

(参考文献:(社)日本照明器具工業会ガイド116:2002「障害光低減のための屋外照明機器の使い方ガイド」)

(2)障害光の低減策

2.1 投光照明と障害光の関係

障害光を低減するには、投光器の取付け高さ、照射角度(鉛直角)、1台あたりの光出力、配光、被照射面からの距離などを、施設やその周囲の状況に応じて、適切に定めることが重要です。表10.4は、投光照明のパラメータと障害光との関係を示したものです。各パラメータの長所と短所に留意して、施設に最も適していると考えられる方法を選定します。
漏れ光の低減に最も効果があるのは、照射角度を小さくすることです。もし、この角度を大きくせざるを得ない場合でも70度以下に抑えるのが良いでしょう。また、照射角度を小さくするためには、取付け高さを高くしたり、被照射面からの距離を小さくする等が考えられます。このような配慮をすれば、ルーバやフードなどによる漏れ光の制御も容易になります。しかし、照度分布が悪くなったり、空間の照度が不足したりするので、投光器1灯当たりの光出力を抑え、良好な照度分布を得るのに必要な灯数を用います。

表10.4 投光照明のパラメータと障害光の関係

パラメータと図 特徴

取付け高さを高くすれば
  • 狭い配光の採用で漏れ光低減ができる。
  • 照射角が小さな鉛直角にでき、漏れ光制御が容易になる。
  • 大光出力光源の採用でも良好な照明効果が得易い。
  • 昼間時に照明設備が目立ちやすい。

照射角度(鉛直角)を小さくすれば
  • 広い配光を採用しても比較的漏れ光が少ない。
  • ルーバやフードなどでの漏れ光の制御が容易になる。
  • 隣接地域から見た照明器具の輝きが低くなる。
  • 取付け高さが低いと、照度均斉度が悪くなり易い。
  • 空間の照度が低くなる。
  • 照射角度は70度以下が推奨される。

光出力を小さくすると
  • 光出力が少ないため周囲への影響が少ない。
  • きめ細かな照射方向の設定で、漏れ光の低減が容易になる。
  • 同時に、良好な照明効果が得やすい。
  • 照明器具台数が増えるので、設備費や保守費が割高になる。

より制御された配光を採用すると
  • ルーバやフード等の使用の必要性が減少する。
  • 隣接地域から見た照明器具の輝きが低くなる。
  • 被照射面での利用光が増加する。

被照射面からの距離を小さくすると
  • 広い配光を小さな鉛直角で照明でき、漏れ光低減が容易になる。
  • 照度均斉度が悪くなり易い。
  • 空間の照度が不足し易い。
  • 照明塔が邪魔になり易い。

隣接地域からの距離を大きくすると
  • 良好な照明設計によって漏れ光の影響低減が容易になる。
  • 遮光物の設置が容易になる。

(参考文献:(社)日本照明器具工業会ガイド116)

2.2 照明施設別の障害光低減策

投光照明は、フレキシブルな使用が可能なことから様々な施設で使用されますが、照明対象、照明範囲、所要照度などによってその使い方が異なります。表10.5は、これらを考慮して照明施設別に推奨される障害光低減策を示したものです。
特に、照明範囲の広いスポーツ施設・大きな広場・駐車場などでは、照射角度が大きくなりがちになるので、取付け高さを高くすること、配光がより制御された投光器を使用すること、可能ならば隣接地域との距離を大きくすること等が重要になります。また、使用時間帯を考慮に入れた運用(減光・消灯など)も障害光の低減に効果があります。

表10.5 照明施設別の障害光低減策

照明施設 スポーツ施設 駐車場 作業場 ヤード
プロ競技 公式競技 一般競技 レクリエーション
障害光の低減対応策 取付け高さを高くする
照射角度を小さくする
1台当たりの光出力を小さくする
配光がより制御されたものを採用する
被照射面からの距離を小さくする
隣接地域との距離を大きくする
  • 備考 ○:推奨される低減策。 ◎:特に推奨される低減策。

(参考文献:(社)日本照明器具工業会ガイド116)

2.3 垂直に近い面の投光照明方法

宣伝・広告物、建築物や構造物などの垂直な面への投光照明は、都市空間の広がりや奥行きの認識を容易にし、人々の安全かつ円滑な誘導に貢献しています。しかし、天空や周辺への漏れ光が多くなり、交通機関や住民への障害光となりやすいため、被照射面の大きさ、照明塔から被照射面までの距離、照射方向を考慮に入れて、適切な広がり(配光)を持つ投光器を選定します。また、投光器は下向きに照射することが望まれますが、もし上向きに照射せざるを得ない場合は、できるだけ仰角を小さくすると共に、ルーバやフードなどで漏れ光を厳しく規制することが望まれます(図10.1)。

図10.1 垂直に近い面への投光照明方法

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