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屋内作業場照明

学校照明

(1)目的

児童生徒の個性を尊重しながら、「豊かな創造性を育てていく」、「ふれあいを大切にしてのびのびと教育していく」現在、こうした観点から、教育の内容や方法論が大きく変化してきています。そして、この変化は学校施設のあり方にも新たな対応を求めています。例えば、広い多目的スペースやランチスペースの設定、教室の多様化、パソコン教室、オープン図書室、作法室、和室、大型の工作室、児童生徒数の減少に伴って生まれる余剰教室の活用。さらに、地域社会への対応として、体育館、教室等の地域住民への解放があげられます。
こうした動きの中で照明設備も見直され、各スペースの使用目的に合った最適な視環境が整備されなければなりません。設計のポイントを以下に示します。

  1. 教室の用途、性格に合った照明システムであること。
  2. まぶしさによる眼の疲労など成長段階にある児童生徒の身体を十分考慮したシステムであること。
  3. 魅力的で快適な環境をつくるシステムであること。そして安全であること。

(2)学校照明の実際

2.1 普通教室

学校生活の中で、最も多くの時間を過ごす普通教室。それだけに各種の条件を十分考慮した照明にすることが大切です。照明器具の選定では、教室の空間を十分に活用できるように「埋込形」や「直付形」をお勤めします。また、グレアの規制や明るい快活な雰囲気を作る機能も考える必要が出てきます。

2.1.1 グレアの規制

生徒の目の高さはおよそ1.0〜1.2(m)。黒板に近い席ほど教師の顔や黒板を見上げることになります。そのため、特に黒板に反射する光の具合をチェックする必要があります。また、後ろの席になるほど視野が広くなるため、光源が目に入りやすくなります。全般の照明には遮光角のある器具をお勧めします。教師の目の高さはおよそ1.4〜1.7(m)。一番後ろの席の生徒の表情も明確に見えなければならないため、全般照明の遮光角を考えると同時に、黒板灯の位置も十分検討することが必要です。標準的な普通教室では後方の児童生徒が前方を見た場合の視野を考え、約24度の遮光角を設定した照明器具を、遮光機能を活かすため黒板と平行に設置します(図7.13参照)。

図7.13 配置例

2.2 黒板

黒板面は、教室の全般照明だけでは照度が不足するので、黒板灯などにより局部照明が行われます。黒板照明で留意すべき点は、次の3点です。

  • 黒板面の反射グレアを防止すること。
  • 黒板灯の直接グレアを防止すること。
  • 黒板面の照度均斉度を3以内(平均/最小)とすること。
2.2.1 生徒側の条件

反射グレアの防止式

直接グレアの防止式

図7.14 児童・生徒側から見た照明器具取付け位置の解析図

2.2.2 先生側の条件

直接グレアの防止
教師の目の位置から仰角45度以内悪くとも30度以内に光源が入らないようにします。

図7.15 児童・生徒側から見た照明器具取付け位置の解析図

2.2.3 照度均斉度

黒板面の照度均斉度を吟味し、(1)(2)を満足する領域に照明器具を配置します。

図7.16 照明器具取り付け範囲

2.3 多目的スペース

多目的スペースは、授業以外に児童生徒の憩いの場や課外活動の場としても使われ、学校生活にゆとりと潤いをもたらしています。

2.3.1 画一的でない照明

スペースそのものの目的が多様であるため、そこに最適な照明設備は、一様なものにはならず、それこそ多種多様です。たとえば空間を広く使おうとすれば多灯用の埋込形器具が有効です。また移動式間仕切りなどでスペースを分割して使用する場合には、間仕切りの仕方によって照度の均斉度が損なわれないように照明器具の選択や配置には十分配慮が必要になってきます。

2.3.2 魅力的な照明

多目的スペースには通常の教室と違って、児童生徒が楽しく遊びながら学習できる、解放的な雰囲気が必要です。そのため全般照明の照度は高く保ちます。また、遊び場として使われることも考え、安全管理上、パネル付照明器具を用いるなどして、ランプ保護についても考慮しておくことが不可欠な要件になっていきます。

2.4 パソコン教室

最近では、小学校でもパソコン実習が導入されてきています。しかしながら、そこでは照明器具のCRT画面への映り込みからくる児童生徒の眠性疲労が問題になってきます。

2.4.1 CRTへの映り込み防止

CRT画面に後方の照明器具が映り込まないようにするには、図7.17に示す映り込み規制角(遮光角)内における照明器具の反射面輝度を十分制限しなければなりません。この映り込み規制角は実習者とCRT画面との位置や画面の傾斜角などの要素によって変化します。図7.17では約34°以上になりますが、実際は若干の余裕が必要になります。国際照明委員会(CIE)では35°〜45°を推奨遮光角としています。

図7.17 映り込む範囲の推定

2.5 特別教室

一般教室と違い、理科教室や図工室、家庭科室は実験や製作といったきめ細かい手足の作業が行われる教室です。視線の方向性も一方だけでなく多方向に及びます。それだけに、例えばグレアの規制についても一般教室のそれではなく、多方向からチェックされたものでなければなりません。また照度や演色性の点についてもきめ細かい配慮が必要です。

2.5.1 十分な照度

細かな観察や精密な計測、危険が伴う化学実験、料理実習、デッサン等、特別教室は緻密な作業が行われるだけに十分な照度が必要になります。

2.5.2 全方向のグレア規制

図工や実験の場合、児童生徒の視線は、一方向ではありません。そのため、グレア規制も「児童生徒と黒板方向」だけではなく「黒板と平行な方向」「生徒対生徒の方向」のグレア規制を検討する必要があります。

2.5.3 良好な演色性

化学実験での試薬による色変化の観察など、特別教室では色を正しく見せることが要求されることがあります。少くとも平均演色性評価数(Ra)が80以上の光源を選ぶことが必要です。

2.6 校長室

校内でも最も格調と落着きを求められる場所です。華美装飾的な雰囲気はできるだけ避けたいものです。こうした場所の照明は、装飾的なものよりシンプルで落着きのあるものが求められます。同時に機能の面では、必要に応じて明るさの調節ができるようにしておくことも望まれます。

2.7 教員室

先生方は教科指導の他にも膨大な事務作業をお持ちです。煩雑な事務作業を効率的に進めるために近年、一般企業と同様にOA機器の導入が図られています。そこで、教員室の照明もOA機器の使用に適したものが求められます。また室内のレイアウト変更などにもフレキシブルに対応できるよう配慮しておきたいものです。

2.8 給食室

作業に必要な明るさや衛生への配慮、湿気への対応も必要です。

2.8.1 湿気への配慮

厨房や給食室は湿度が高いだけに防湿形照明器具を使用します。また湿気による錆の発生が予想されるため、特に食品衛生上から耐食性に優れた器具を選ばなければなりません。

2.8.2 衛生環境の整備

毎日の給食を衛生的に調理するためには雑菌やカビなどの発生を防ぎ、厨房全体を常に清潔に保たなければなりません。このためには、紫外線を利用した殺菌灯などで厨房内の空気殺菌を行い、衛生環境を保全する必要があります。殺菌灯を付ける場合、紫外線による悪影響がない よう、吊下げ形の殺菌灯、紫外線を上方に照射するタイプを推奨します。また作業者が在室中は上方に、夜間無人時は反転させ下方照射ができる回転式殺菌灯を使うと殺菌効果が高くなります。

2.9 玄関ホール・ロビー

玄関ホールやロビーは常に人の移動があり、人の動きや視線の方向が一方向に限定できない場所です。そのため、照明器具は方向性のない丸形や正方形の埋込形器具が望まれます。また、ここは登下校時には、学校の児童生徒が集い交流する場所でもあります。それだけに、学級や学年をこえた自由なコミュニケーションが生まれてくる明るい雰囲気をつくる必要があります。

2.10 体育館

眩しさを少なく、競技空間を明るく、保守・点検が容易な点も条件です。学校の体育館の場合、単に体育授業だけではなく、文化祭や入学式、卒業式など、学校行事に広く使われることから、多目的に使用しやすい照明施設であることが求められます。また、保守や管理の面から省力化が図られる電動式昇降装置付きの器具の採用が望まれます。

2.11 グラウンド

十分な明るさと経済性、周辺への光漏れも考慮しなければなりません。近年、スポーツの課外活動や地域開放のためにグラウンドの夜間照明は学校に欠かせない施設になってきています。その要件は以下の内容が挙げられます。

  • 安全を確保する照明
  • スポーツ・レジャーの多様化に応える柔軟な多目的照明
  • 周囲の住宅等に対する光漏れの対策などがあげられます。

(3)照度設定

表7.24に照度基準を示します。

表7.24 学校(屋内)の照度基準

  • ※ 表の照度は維持照度を表しており、使用期間中は下回ってはいけない値。

(参考文献:JIS Z 9110 2010 財) 日本規格協会)

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