情報ライブラリー

照明技術資料

照明計画資料

屋内作業場照明

オフィス照明

(1)目的

オフィス照明は、執務者の視機能を良好に保ち、疲労を軽減し、作業能率が向上するように設計・設備される必要があります(明視性:作業の照明)。

また、照明は見ようとする視対象だけを十分に明るくすれば良いというものではなく、天井面・壁面・床面・什器などの明るさのバランスを適切にし、居住空間として快適と感じられるように、設計・設備される必要もあります(快適性:環境の照明)。

(2)照明の要件

オフィス照明の基本的な要件は次の4つです。これらは相互に関連し合っているので、実際の照明の場ではこれらを総合的に取り扱う必要があります。

  • 照度
  • 不快グレア
  • 光幕反射と反射グレア
  • 光色と演色性

2.1 照度

2.1.1 水平面照度

表7.15にオフィス照明基準表を示します。表中の水平面照度は、各エリアの室の種類毎に推奨する保守率を含む水平面照度の平均値を示しています。作業面が指定されていない場合は、床上0.8(m)の仮想的な水平面の値とし、通路や廊下では床上0.1(m)以内の中心線上の平均値としています。また、視作業の種類ごとには表7.16の値を推奨します。

2.1.2 照度均斉度

作業面における水平面照度の変化は、出来るだけ小さいことが望ましく、執務エリアなどで全般照明方式による場合は作業面内の照度の均斉度は、最小照度/平均照度を0.6以上とする必要があります。また、タスクアンドアンピエント照明方式のような不均一な照明を選定する場合は、作業の種類にもよりますが、視作業エリア以外の照度は250〜600(ℓx)とする必要があります。

2.1.3 照度の連続性

人間がオフィス内を移動する場合、室と廊下または室と室の間に、ある限度以上の照度差があると、床面、障害物、歩行者などが見え難くなり、通行の安全が損なわれることがあります。低い方の照度が高い方の1/5以上であることが理想的です。

2.1.4 鉛直面照度

対話をする相手の表情を見る時や、書棚の書類を探す時などには、十分な鉛直面照度が必要となります。また、0A機器を操作する室内においては、資料や原稿を見るために十分な鉛直面照度が必要な反面、CRTや液晶モニタなどのディスプレイ表面の照度が高すぎると、表示文字の輝度対比が低下して見えにくくなったり目が疲れたりするため、適正な範囲に抑える必要があります。
これらを考慮した基準が表7.15の中の鉛直面照度です。この表によると、VDT作業をする室の鉛直面照度は100〜500(ℓx)、その他の室の鉛直面照度も150(ℓx)以上必要となっています。

表7.15 オフィス照明基準表

区分 室の種類 水平面照度[ℓx] 照度の均斉度 照度の連続性 鉛直面照度[ℓx] 不快グレア 反射グレア 光色 演色性
執務エリア 事務室(a) 1500 0.6以上 1:5以内 150以上 D2,D3 V2,V3 中、涼 80以上
事務室(b) 750 D2,D3 V2,V3
役員室 750 D1,D2 V2,V3 暖、中、涼
設計室・製図室 1500 D2,D3 V2,V3 中、涼
VDT専用室・CAD室 750 100〜500 V1,V2
研修室・資料室 750 D3,D4
集中監視室・制御室 750 100〜500 D1 V1,V2
診察室 750 200以上 D2,D3
調理室 750 D3,D4
守衛室 500 D3,D4
コミュニケーションエリア 応接室 500 150以上 D2,D3,D4 暖、中、涼
役員応接室 500 D1,D2
打ち合わせコーナー会議室 750 0.6以上 D2,D3
役員会議室 750 D1,D2 V2,V3
TV会議室 750 100〜500 D1,D2 V1,V2,V3
プレゼンテーションルーム 500 200以上 D2 V1,V2,V3 中、涼
大会議室・講堂 750 200以上 D2,D3,D4 暖、中、涼
受付ロビー 750 200以上 D2 60以上
ラウンジ 500 D3,D4 80以上
玄関ホール 500 150以上 D2,D3 60以上
リフレッシュエリア 食堂・カフェテリア 500 D2 80以上
役員食堂 500 D1,D2
喫茶室・休憩コーナー 150 D2
リフレッシュルーム 500 D1,D2
アスレチックルーム 500 0.6以上 D3,D4 中、涼
アトリウム 500 D2,D3 60以上
ユーティリティエリア 化粧室 500 150以上 D1,D2 暖、中、涼 80以上
便所・洗面所 300 D2,D3 中、涼
エレベーターホール 300 D2
エレベータ、階段、廊下 300 D2,D3
役員廊下 200 D1,D2 暖、中、涼
給湯室、オフィスラウンジ 300 D2,D3 中、涼
更衣室 200 D4,D5
書庫 500 150以上 60以上
電気室、機械室 300
倉庫 200
宿直室 300
玄関(車寄せ) 150
屋内非常階段、車庫 75
  • 備考a:一般の事務室としては事務室(b)を選択。細かな視作業を伴う場合、および昼光の影響により窓外が明るく、室内が暗く感じる場合は(a)を選択することが望ましい。
  • 備考b:VDT作業が行われる室の場合は、不快グレア規制値よりも反射グレア規制値であるV分類の使用を優先する。
  • 備考c:表中の○印は、局部照明で得てもよい

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

表7.16 作業面の推奨照度と照度範囲、作業の例

推奨照度[ℓx] 照度範囲[ℓx] 作業または行動の例
75 50〜100 車庫・非常階段
100 75 〜 150 ごく粗な視作業、時折の短い訪問、倉庫
150 100 〜 200 作業のために連続的に使用しない空間
200 150 〜 300 粗な視作業、作業のために連続的に使用する空間
300 200 〜 500 やや粗な視作業
500 300 〜 750 普通の視作業
750 500 〜 1000 やや精密な視作業
1000 750 〜 1500 精密な視作業
1500 1000 〜 2000 非常に精密な視作業
  • 照度範囲300〜750は、300[ℓx]以上、750[ℓx]以下を示す。この場合の推奨照度は、500[ℓx]である。

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

2.2 グレア

2.2.1 照明器具のグレア区分

良好な視環境を得るためには、作業者に照明器具によるグレアを与えないように、適切な照明器具を選択しなければなりません。グレアを防止するための分類としては「蛍光灯器具による全般照明からの不快グレア(区分D)」と「VDT画面への照明器具の映り込みに基づく反射グレア(区分V)」の2つがあり、その輝度制限値をそれぞれ定めています。

(1)蛍光灯器具による全般照明からの不快グレアの防止区分

蛍光灯器具を用いた全般照明からの不快グレアの防止区分を、表7.17に示します。区分は、グレア防止の強い順からD1 、D2 、D3 、D4 、D5の5段階としています。D1〜D5の区分に対応する照明器具の選定例を表7.18に示します。なお、表7.18に示されている照明器具のグレア分類Gの輝度特性は、蛍光灯器具のA-AおよびB-B断面において鉛直角65° 、75° 、85°の輝度値が表7.19を満たすものとします。

表7.17 不快グレアの防止区分

区分記号 不快グレアの防止の程度
D1 十分に防止されている
D2 十分ではないがよく防止されている
D3 かなり防止されている
D4 やや防止されている
D5 防止されていない

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

表7.18 不快グレアの防止区分と照明器具の選定例

不快グレアの防止 照明器具のグレア分類G
D1 G0
D2 G1a
D3 G1b
D4 G2
D5 G3

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

表7.19 照明器具のグレア分類Vの輝度特性

単位:[cd/m²]

分類/鉛直角 65° 75° 85°
G0 3000以下 1500以下 1500以下
G1a 7200以下 4600以下 4600以下
G1b 15000以下 7300以下 7300以下
G2 35000以下 17000以下 17000以下
G3 - - -

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

(2)VDT画面への照明器具の映り込みに基づく反射グレア防止による分類

VDT作業の行われる室や、照明器具がVDT画面に映り込むおそれのある所では、グレア分類V(VI、V2、V3)の器具を使用します。表7.20に照明器具のグレ分類Vの輝度特性を、表7.21に使用されるVDT画面の反射防止処理の有無によるV分類照明器具の選定基準を示します。

表7.20 照明器具のグレア分類Vの輝度特性

単位:[cd/m²]

分類/鉛直角 鉛直角60°から90°の範囲において
V1 50以下
V2 200以下
V3 2000以下(1500以下が望ましい)

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

表7.21 全般照明方式におけるV分類照明器具の選定

使用場所/VDTの種類 反射防止処理がされていない場合 反射防止処理がされている場合
VDT専用室 V1 V2
一般事務室 V2 V3

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

2.2.2 照明器具のグレア規制

照明器具の適切な選定は、不快グレア(D)と反射グレア(V)の2つの観点から行います。室の種類、作業の内容に応じて、表7.15の中に示すようなグレア規制を推奨しています。不快グレア(D)と反射ゲレア(V)が併記されている場所、例えば、事務室(a)では、D2 、D3およびV2 、V3となっていますが、この場合はV2、V3の方を優先します。これは、不快グレア防止区分の基準となるグレア分類Gよりもグレア分類Vの方がより巌しく輝度の制限が行われているので、グレア分類Vを満たすことで、不快グレア(D)の基準も満足させることが出来るためです。表7.22にグレア分類GおよびVの代表的なHf蛍光灯器具の種類を示します。

表7.22 代表的なHf蛍光灯器具のグレア分類

分類 説明
G0
(V1)
(V2)
(V3)
鏡面ルーバなどでグレアをより厳しく、十分制限したHf蛍光灯器具

G1a 全方向白色ルーバ(1)、拡散パネル、プリズムパネルなどによりグレアを十分制限したHf蛍光灯器具

G1b 一方向形白色ルーバ(2)などによりグレアを制限したHf蛍光灯器具

G2 水平方向から見た時、ランプが見えないようにグレアを制限したHf蛍光灯

G3 ランプが露出してグレアを制限していないHf蛍光灯器具

  • ※注1:A-A断面、B-B断面の両方向に対し、白色ルーバで遮光した蛍光灯器具
  • ※注2:A-A断面(管軸と直角方向)のみ白色ルーバで遮光した蛍光灯器具

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

2.3 光幕反射

上記の不快グレア(D)と反射グレア(V)以外にも、紙面などの視作業面で対向する高輝度物体が反射して生じる光幕反射があります。光幕反射を防止するためには、以下のような配慮をする必要があります。

  • 望ましくない反射が通常の視線方向からはずれるように、照明器具、視対象物および執務者を配置する。
  • 主たる照明を拡散光で左側方または頭上の少し後方からとるようにし、使用する照明器具は輝度制限されたV1 、V2 、V3 、G0 、G1a、G1bの分類から選ぶようにする。
  • 光幕反射が生じないよう局部照明を用いて作業対象面の照度を上げ、光幕反射の影響を相対的に軽減する。
  • 作業対象面内の光沢面を光沢のない面にかえる。
  • 室内面を光沢のない仕上げとする。

2.4 光源の光色と演色性

2.4.1 光源の光色

色温度が低いと赤みをおびた光色となるため暖かい感じとなり、色温度が高いと青みをおびた光色となるため涼しく感じます。光色が与える印象は相関色温度により表7.23に示す光色分類で表します。ただし、長時間室内に滞在し、その室の光色に十分順応した状態においては、このような心理的効果は軽減されます。

色温度は温冷感に影響があり、室内の雰囲気を左右する重要な要素となります。ひとつの空間や隣接する空間で異なる光色の光源を用いると不自然に感じられる場合があり特に、昼光の入る空間に色温度の低い光源を使用するとバランスが悪く不自然に感じられるため、光色区分の中または涼の色温度の光源を使用するのが理想的です。また、光源の選定にあたっては、室の目的に応じた雰囲気を考慮し、内装や家具の色彩、照度との関係にも留意する必要があります。

表7.23 光色の分類

区分 光色の印象 相関色温度(K)
暖かい 3300未満
中間 3300〜5300
涼しい 5300以上

(参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002))

2.4.2 光源の演色性

演色性とは、その光源により照明した物体がどの程度忠実に見えるか、その程度のことをいいます。演色性の程度は「光源の演色性評価方法JIS Z 8726-1990」に規定される平均演色評価数Raによって表されます。Raの値が100に近いほど物体の色を忠実に表すことが出来ますが、相 関色温度が異なる光源同士は、平均演色評価数の大小では必ずしも演色効果を比較出来ないので注意が必要です。人が長時間働いたり、滞在したりする場所にはRa 80 以上の光源を用いるのが理想的です。また、印刷やデザイン関係の仕事など色がより正しく見えることが求められる空間ではRa90以上を推奨します。

機械室や倉庫などのバックスベースにはRa 60 以上という値が推奨されていますが、危険作業を伴うような空間では、安全色彩、安全標識が適切に見える光源を使用します。演色性の良否は、執務者の作業効率や疲労にも影響を及ぼすことが考えられます。また、高齢化社会の到来にともない、執務者の高齢化への対応が求められています。一般に、若年者に比べて色彩弁別能力などの視機能が低下するため、高齢者にとっても明確に対象物が見えるよう、Ra80以上とするのが理想的です。

(3)照明方式

照明方式は、照明の目的に適したものを選択し、照明設備は光源・照明器具(安定器を含む)・制御システムなど個々の効率だけでなく、照明システム全体の効率を考慮して決定するのが望ましいといえます。また初期費用だけでなく電力費、維持費を含めた設備稼働全期間の総費用が少なくなるように計画することが必要です。オフィス照明に採用される照明方式は図7.11を参照ください。

図7.11 照明方式

3.1 全般照明方式

天井全体に多数の照明器具を規則正しく配置し、室内の作業面全体にほぼ均一な照度を与える方式です。この方式の最大の利点は、作業対象、作業場所などが変わっても、照明条件はほとんど変わらないという柔軟性があることですが、反面、部屋全体をその部屋で行われる最も細かい作業に必要な照度で照明しなければならないことが欠点といえます。

なおこの方式は、使用する照明器具の配光特性によって、直接照明と間接照明に分けることもできます。前者は、直接作業面方向への配光を有する照明器具を使う方式であるのに対し、後者は照明器具から出た光を一旦天井や壁で反射させ、その2次反射光を作業照明用に利用する方式で、所要照度があまり高くない場合、VDTが多く設置される部屋などに適しています。

3.2 局部的全般照明方式

この方式は、照明器具を作業する場所を中心にして機能的に配置して所要照度を与え、その他の場所には、これより低い照度を与える方式です。
この方式の場合は、完成後の作業場所の変更に対応しにくいため、設計段階で照明器具の設置位置と作業領域との関係を正確に把握しておく必要があります。

3.3 局部照明方式

作業に使用される限定された挾い範囲とそのごく近傍の周辺のみを照明する方式で、部屋の一部で高照度を必要とする場合に適しています。

3.4 タスクアンドアンビエント照明方式

全般照明方式と局部照明方式を組み合わせた方式です。タスク照明とは各机などに設けた作業(タスク)用照明のことで、アンピエント照明とは、居室内全体用のベース照明を意味します。一般的にベース照明の照度レベルは作業面照度より低く設定し、250(ℓx)以上とするのが望ましいといえます。
この照明方式により、設備のイニシャルコストおよび電気料金を低減させることが出来、さらに離席者が各自のタスクライトを消灯することでより大きな省エネ効果を得ることが出来ます。

3.5 ウォール・ウォッシャの付加

VDTへの映り込みを軽減した照明器具を用いると、室内が暗く陰気な印象に感じられる場合があります。このような場合には、ウォール・ウォッシャを付加し、壁を明るくすることで、居心地の良い印象に改善することができます。
図7.12は好まれる壁面輝度と室内照度レベルとの関係を示した例です。室内の設計照度が700(ℓx)の場合には、壁面の輝度は約65〜85(cd/m²)の範囲にあればよく、壁面の反射率を50%とすれば400〜500(ℓx)の照度を与えればよいことがわかります。

図7.12 好まれる壁面輝度と室内照度レベルとの関係

PAGE TOP

ライティング講座


このページに掲載されている情報は、原稿執筆時現在の情報です。ご覧になった時点では、最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

照明計画資料

照明技術資料

このページの先頭へ