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照明技術資料

照明計画資料

展示物の照明

商業施設照明

(1)目的

商業施設照明には、陳列された商品が魅力的に見え、お客様が安全かつ快適な店舗環境の中で買い物が出来る適切な明るさが求められます。

(2)役割

商業施設照明の主な役割として次に示す5つの役割が考えられます。

  • 機能としての明るさ=快適な光環境
  • お客様の関心と目を引き、来店者を増やす
  • お店の主役である商品やサービスを引き立たせる
  • 購買意欲を盛り上げる
  • 商品を視覚的に、そして美しい魅力ある陳列で見せる

また、スーパーマーケット等に陳列されている食品を照明する場合は、光源から発せられる熱(赤外線による影響)の影響を考慮する必要があるため、上記の5つの役割に加え以下に示す3つの要件が必要になってきます。

  • 食品への熱を抑えた光
  • 赤色の再現性の向上
  • 環境にやさしい省エネルギー対応

(3)照明方式

商業施設照明では、主に「基礎照明・重点照明・装飾照明」の3つの照明手法を用います(図8.7)。

図8.7 商業施設照明の照明方式

(4)照度

照度(水平面照度)は、JIS Z9110 照度基準によってその基準値が定められています(表8.9)。

表8.9 照度基準

  • 備考1 昼間、屋外向き装飾の重点は、10000(ℓx)以上が望ましい。
  • 備考2 重点陳列部に対する局部照明の照度は、全般照明の照度の3倍以上にすることが望ましい。
  • ※ 表の照度は維持照度を表しており、使用期間中は下回ってはいけない値。

(参考文献:JIS Z 9110 2010 財) 日本規格協会)

(5)光色

店内の雰囲気は使用する光源の種類によって大きく違ってきます。それだけに、光源のもつ光色の特性を効果的に活用して、売場にふさわしい雰囲気を効率よく得る必要があります。光色は大きく三つに分けることができます。
色温度3300(K)以下の光色は、温かみがあり、ロマンを含んだ光の色として、安らぎ、親しみを与える光色で高級品店、喫茶店など落ち着いた雰囲気を必要とする場合などに適します。色温度3300〜5000(K)の光色は、活動的な売場、たとえばスーパー、遊戯場などの照明に適しています。5000(K)以上の光色は、自然昼光にもっとも近い、すがすがしい感覚として人々に開放的な印象を与えます。主にロビー通路、コンコース、パブリック・スペース等に適します。
店内の視環境に調和する光色を検討する時、照度レベルとの関係に気をつける必要があります。
色温度の高い光源ほどベース照度を高めにしないと、店内全体が陰気な雰囲気になってしまいます。
また、色温度の低い光源では、低めのベース照度にしないと暑苦しい雰囲気になってしまいます。
その感覚的データとしてオランダのクルフトホフ博士が測定した色温度と照度の快適曲線を図8.8に示します。光色差の大きい二つの光源を使用し陳列商品の場所を目立たせたり、店内のゾーニング効果、光色の変化や対比を利用する方法は効果的です。

図8.8 色温度と照度の快適曲線

A.A.Kruithof:Tubular luminescence lamps for general
illujination, Philips Technical Review, 6(1941),pp.65〜96 参照

(6)照明設計のポイント

6.1 業種の特徴を引き出す照明

店舗は、その業態、業種が数多くあり、洋装品、靴、かばん、時計、貴金属、スポーツ用品、食料品などの専業店、またさらに、百貨店、スーパーなど大型総合店舗等それらを一律に表現することは困難です。店の性格が異なる以上、当然これらの業種ごとに最適な照明は異なってきます。商品から見ると各々の商品を最も効果的に見せる照明を十分に検討しなければなりません。さらに商品の種類、大きさ、展示方法などによって変化をつけ店内とのバランスと変化のとれた明るさに設計することが大切です。またスポット効果によって商品に立体感、質感、艶(光沢)の見え方など好ましく見せることが大切な要点です。その為にもベース照明とアクセント照明との比は1:3〜5、少なくともアクセント照明は2〜3倍以上の明るさが必要です。

6.2 商品を引き立てる照明

ものの見え方は、明るさによって、左右されます。基本的には、明るいほどよく見え、それだけ目を惹きつけるので商品が明るい程その訴求効果は高まります。しかし店内の明るさだけを求めていては経済性を無視することになります。光の量から光の質への転換をはかり、快適な視環境づくりが店舗の成功を導くことになります。店内全体が明るければ、商品が引き立つと考えるのではなく、全体の明るさはほどよいレベルに抑えておき、主要な場所や商品だけを明るくする様に演出することが必要です。すなわちお客様に対する明るさの実際的な効果は明暗の対比が大切です。店内全体の照度レベルを上げてしまうと重要商品には、より一層の照度が必要となってしまいます。
基本的には、通路部は少し低めの明るさとし、壁面の商品陳列やケース内などは店内の照度レベルより1.5〜2倍程度とします。店内で最も強く表現しようとする部分には3〜10倍の明るさを与えます。商品が浮きあがってお客の目を無意議に引きつけることになります。
また、店内全体の明るさは、壁面の明るさに大きく影響されます。それは視野内で壁面部は大きなウエイトを占めているからです。その意味でも店内照度を抑え、ウォールウォッシャーなどで壁面照明を行い明るさ感を強調することが必要です。店に広がり感と注目性を与え、お客を奥へと誘引する効果が高まります。

陳列棚の照明

対象商品 洋品、洋服、布地、呉服他 小物、雑貨、食品、家電他 食器、花瓶、陶磁器、ガラス器他 ガラス瓶、ガラス食器、サングラス他 靴、かばん、皮革製品他
ポイント 洋服、布地など大きな面を全般的に明るくし、柄や模様を正しく見せるようにします。 陳列全般を明るくし、重点商品がさらに目立つようにスポットを与えます。 上下から拡散光を与え、商品の形状や大きさを表現したい場合に適します。 背後から拡散光を与え、商品を透過してくる光で、商品の素材や色彩を見せるようにします。 前面タテに配置した光源で、商品と背景を全般的に明るくし、反射率の低い商品の形状を表現します。スポットは皮革のつやを演出します。
ショウケースの照明

対象商品 小物、雑貨、食品、化粧品他 ガラス器、陶磁器、食器他 装身具、時計、めがね他 宝石、貴金属、装身具他 宝石、貴金属、小物、食品他
ポイント ショウケースの最も一般的な技法で、全般的に明るく照明します。光源が直接見えないように遮光することが大切です。 下から拡散光を与え、反射率の低い商品の形状や大きさを表現します。 ダウンライトなどで、商品だけを明るく照明し、光沢などを演出します。なお、背景は反射率の低い黒っぽいものが最適です。 ショウケース内の局部照明で、光沢や輝きを演出します。ショウケース周辺を内部の1/2以下の照度にすれば、ガラス面への周囲の映り込みが防止できます。 ショウケースをペンダントなどで照明する技法で、ショウケース内の温度上昇を軽減できますが、器具の位置によってショウケース面での反射グレアが生じる危険性があります。

図8.9 陳列棚とショーケースの照明例

6.3 商品を見やすくする照明

商品を見ようとするとき、視野内に強い光の輝きがあるとまぶしさを感じ商品が見えにくく、不快感を与えてしまいます。同じ照度レベルであれば、グレア(まぶしさ)が少なければそれだけの商品の見え方は良くなります。グレアには、光源、照明器具の直接光によるまぶしさと、ガラス、金属などの反射光によるまぶしさの二つがあります。これらのグレアをおさえ、商品を見やすく、選びやすくするためには、強い光源が直接目に見えないグレアレスタイプの器具を選ぶとともに、反射グレアを少なくすることに留意する必要があります。

6.4 商品の色彩を生かす照明

光源のもつ光色の特性には、二つの使い方があります。1つめは商品の色を正しく見せようとする照明、もう1つは商品の色を一段と強調する照明があります。

6.4.1 商品の色を正しく見せる照明

商品の色を正しく見せるためには、演色性の高い光源を使用することが必要です。白熱電球は、赤系統の光の量が多いので、同系統は一段と赤味になり、緑色は多少黄味がかり、青色はくすんで見えることがあります。また、一般の白色蛍光ランプは赤系統の光量が不足し、青系統の光が多いため赤色がくすみ青色が強調されます。このような点に留意し演色評価数が85程度以上の光源を使用することを推奨します。しかしここで留意することは、低い照度では商品の色の彩度が低下してしまうので、少なくとも500(ℓx)以上の照度が得られるようにすることが必要です。

6.4.2 商品の色を強調する照明

商品のもつ特徴ある色を一段と鮮やかに演出するには、その色彩を強調する波長をもつ光源を利用します。例えばセラルクスのナチュラルレッド色は、赤を強調する波長をもつ光源なので赤色系があざやかに引き立ち、肉、鮮魚の赤味、リンゴ、トマトなどの生鮮食品の赤味を強調するのに効果的です。

6.4.3 照明の目的にあった器具の選定

商業空間における照明器具の意匠は、商品をよりよく見せ、購買意欲を高める雰囲気づくりの一要素として考えるべきで、全体との調和が大切です。ベース照明については、できるだけ意匠を強調しない方がよく、アクセント照明においてもその光のスポット効果が目的であり、特に意匠的に凝る必要はないでしょう。店舗照明において、アクセント照明は重要なウエイトを占めており、商品の大きさや形、材質、反射などによって、適切な配光特性をもつスポットライト器具の選定が要求されます。

(7)照明器具

商業施設で使用される代表的な照明器具にダウンライトとスポットライトがあります。

7.1 ダウンライト

ダウンライトは、用途に応じて3つの種類に分類され(表8.10)、配光は、1/2照度角の値によって分類されます(表8.11 )。1/2照度角とは、ランプ直下の光源中心とその照度の1/2の照度になる点を結んだ線と、光源中心の鉛直線とのなす角度をいい、器具から出る光の広がり具合を示すものです。
なおダウンライトとスポットライトのでは、用途が異なるため定義が異なります。

表8.10 ダウンライトの分類

ベースダウンライト ウォールウォッシャー
ダウンライト
ユニバーサル
ダウンライト
ダウンライトマルチ

ランプの振り向けが出来ないもので、主に店舗全体を均一に照らしたい時に使うダウンライト。全般照明に最適である。 壁面に光を照らすためのダウンライト。光は一方向のみに集中している固定されたものである。 光の向きを自由に変えられる機能を持ったダウンライト。重点照明(演出照明)などでの使い方が一般的である。 全般照明用の配光でありながら、光の向きを自由に変えられる機能を持ったダウンライト。ウォールウォッシャーダウンライトや傾斜天井など幅広く使用することが可能である。

表8.11 ダウンライトの配光分類

超狭角
スーパーナロー 30°
狭角
ナロー 40°
中角
ミディアム 60°
広角
ワイド 80°
超広角
スーパーワイド 100°

7.2 スポットライト

スポットライトは、取付方法に応じて次に示す3つの種類に分類されます。

直付(フランジ)タイプ 天井などへ直接取付けるタイプ
クリップタイプ任意に挟み込みが可能なタイプ
プラグタイプ配線ダクトに取付けるタイプ

スポットライトの配光分類を表8.12に示します。

表8.12 スポットライトの配光分類

超狭角
スーパーナロー
狭角
ナロー 10°
中角
ミディアム 20°
広角
ワイド 30°
超広角
スーパーワイド 50°

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